環境省は17日の有識者会議で、発がん性が疑われる有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」の水道水の基準見直しに向けた議論を始めた。内閣府の食品安全委員会が6月、PFASのリスク評価を公表したのを踏まえた対応。水道事業者による検査を義務化したり、現在の暫定目標値を変更したりするかが焦点だ。
 水道法に基づいて事業者が実施する検査に関しては、代表物質である「PFOS」と「PFOA」について、任意の検査を事業者に求めている。今後、両物質について検査を義務付けるか議論する。 

現行の暫定目標値は、PFOSとPFOAの合算で水道水1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)。食品安全委のリスク評価によると、1日当たりの許容摂取量は従来通りの考え方が妥当とされた。一方、米国ではPFOS、PFOAそれぞれの物質の飲料水基準が1リットル当たり4ナノグラムに厳格化されており、国内外の状況を踏まえて話し合う。

 PFASは水や油をはじく特性があり、泡消火剤やフライパンの表面加工に使われてきた。PFOSとPFOAは2021年までに製造・輸入が禁止されたが、21年度の水道統計では1247地点中2地点で基準値の超過が確認された。(了)

〔写真説明〕環境省=東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)