政府は、太平洋島しょ国・地域の首脳会議「太平洋・島サミット」の首脳宣言に「力または威圧による一方的な現状変更の試みに反対する」と明記する方向で調整に入った。日本政府関係者が17日、明らかにした。覇権主義的な動きを強める中国をけん制する狙いがある。
 島サミットは東京で16日から3日間の日程で開かれており、最終日の18日に首脳宣言と共同行動計画を採択する。
 岸田文雄首相は17日、パラオ、マーシャル諸島、フィジー、サモア、クック諸島、トンガ、ソロモン諸島の7カ国首脳と首相官邸で個別に会談。各国の課題に応じた日本の支援策を相次ぎ表明した。
 具体的には、大規模なサイバー攻撃を受けたパラオに対し、通信網強化や防御演習の実施で日本が協力する考えを伝達。津波リスクに直面するフィジーには、日本の準天頂衛星「みちびき」を活用して防災情報を共有する方針を伝えた。サモアには気象衛星「ひまわり」の観測データを提供する。
 ソロモン諸島で水産業研究センター設置を日本が支援する方針も表明した。ソロモン諸島は2022年に中国と安全保障協定を締結するなど関係強化が目立っている。
 首相は一連の会談で「日本と太平洋島しょ国の絆をさらに強固にし、われわれが共に進む方向性を内外に発信する機会としたい」と強調。各国首脳は日本の支援に謝意を示した。この後、東京・元赤坂の迎賓館で首相夫妻主催の夕食会が開かれた。 
〔写真説明〕握手するパラオのウィップス大統領(左)と岸田文雄首相=17日午前、首相官邸
〔写真説明〕握手するソロモン諸島のマネレ首相(左)と岸田文雄首相=17日午後、首相官邸
〔写真説明〕会談に臨むパラオのウィップス大統領(左から2人目)と岸田文雄首相(右手前から3人目)=17日、首相官邸

(ニュース提供元:時事通信社)