4月に大阪市で「スリングピストル」を使用した傷害事件が起きた。捜査関係者が「目に当たれば(球が)脳まで届く威力」と話すほど危険性が高いが、入手は容易だ。大阪府警幹部や専門家は、法規制の必要性を指摘する。
 スリングピストルは、取っ手の上に、氷のうのような袋状のゴムが固定されており、ゴムの中に球を入れて引っ張って放つ。ひも状のゴムで撃つスリングショットに比べ、威力も命中率も高いとされる。
 4月1日、大阪市東淀川区のマンションで、知人男性に対しスリングピストルで鋼球を発射したなどとして、男が逮捕された。男性の右足には直径約6ミリの鋼球1発がめり込み、3週間のけがをした。被害男性は「熱くて拳銃かと思った」と話しているという。
 大阪府青少年健全育成条例で有害玩具に指定され、18歳未満への販売や貸し出しは禁止されているが、複数の通信販売サイトで販売が確認されている。動画投稿サイトでも、スリングピストルの威力を見せつけるような動画が見つかる。
 府警幹部は「(青少年が)容易に入手できるインターネットの販売に問題がある。(条例ではなく)銃刀法を改正して規制すべきではないか」と訴える。
 銃刀法改正でクロスボウの所持が許可制になった際、有識者検討会委員だった「ステップ総合研究所」(東京都)の清永奈穂所長は、「スリングピストルは玩具ではなく、強力な射撃用具。銃器に比べ小型で軽量なので持ち運びや操作が簡単だ」と説明。「将来、凶器として殺傷に使われる可能性があるので、地域限定の条例で曖昧に扱うのでなく、銃刀法改正などで厳しく規制すべき対象」と指摘する。 
〔写真説明〕押収されたスリングピストル(大阪府警提供)

(ニュース提供元:時事通信社)