2024/06/20
防災・危機管理ニュース
【台北時事】台湾の頼清徳総統が就任して、20日で1カ月。この間、頼氏を敵視する中国の圧力が強まり、立法院(国会)で多数を占める野党は政権を揺さぶってきた。米国や日本など民主主義国と連携して、内憂外患の現状の打破を目指す考えだが、頼氏は厳しい状況に置かれている。
「台湾の課題は国際社会の課題、国際社会の課題は台湾の課題だ」。頼氏は19日、総統府で記者会見を開き、民主主義国との協調を軸にして政権運営に臨む方針を改めて訴えた。
「祖国統一」を悲願とする中国の習近平政権は頼氏の就任後、台湾周辺で軍事演習を実施。経済面では、台湾からの輸入品に対する関税を引き上げた。さらに、台湾の芸能人に「中国支持」を表明するよう働き掛けているもようだ。芸能人に「親中政党」の結成を呼び掛けたとも報じられている。
こうした中国の動きに対して、頼氏は強気の姿勢を崩していない。19日の会見では、就任式で示した「中華民国(台湾)と中華人民共和国(中国)は互いに隷属しない」との認識を重ねて強調。イタリアで開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)の首脳声明で「台湾海峡の平和と安定」や、台湾の国際機関への参加を支持する立場が明記されたことに言及し、中国に屈しない態度を鮮明にした。
一方、内政も極めて厳しい状況だ。与党・民進党が立法院で過半数を失い、野党主導で立法院の機能を強化する法案が可決された。法案は、定期的な総統の政治報告を義務付け、調査権の拡大などを定めている。頼政権は再審議を求めているが、成立を阻止できる見込みは薄く、野党の発言力がさらに強まることはほぼ確実だ。
頼氏は19日の会見で、防衛、気候変動、健康の3分野について、自らがトップとなる諮問会議を設置すると発表した。国際社会と連携しやすく、有権者の関心が高い分野で議論をリードし、政権浮揚につなげようとする思惑がありそうだ。
〔写真説明〕19日、台北の総統府で記者会見する台湾の頼清徳総統(EPA時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを事業化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方