2024/06/19
防災・危機管理ニュース
【ソウル時事】ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は19日、平壌で会談した。タス通信によると、両首脳は会談後、「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名。プーチン氏は侵略を受けた場合の相互支援を定めていると説明し、正恩氏はロ朝関係が同盟水準まで引き上げられたと語った。ただ、正恩氏は「平和を愛する防衛的な性質」だと主張した。
会談冒頭、正恩氏はロ朝関係が「新たな繁栄の時代に入った」と表明。プーチン氏は次回会談のモスクワ開催に期待を示し、正恩氏を招待した。
両首脳が会うのは、正恩氏がロシア極東を訪問した2019年4月と昨年9月に続いて3回目。ウクライナ侵攻を続けるロシアに北朝鮮が弾道ミサイルを輸出するなど軍事協力が進む中、さらなる関係強化に踏み切った。
プーチン氏の訪朝は、1期目就任直後に正恩氏の父である故金正日総書記と会談した00年7月以来24年ぶり。ロシア政府専用機が予定より遅れて到着したとみられる19日未明(日本時間同)、平壌の空港で正恩氏が出迎えた。
西側諸国との対立を背景に、ロシアは北朝鮮の核・ミサイル開発を擁護する姿勢。プーチン氏は共同記者発表で、自国に対する制裁を批判するとともに、国連安保理の対北朝鮮制裁決議を見直すべきだと訴えた。一方の北朝鮮は、武器供与の見返りにロシアから軍事技術の提供を受けたとされる。
「同盟」に近づいた両国の軍事協力は北東アジアの安全保障環境にも影響を与えかねず、日米韓などが懸念を強めている。理論上は、朝鮮半島有事にロシアが介入したり、プーチン政権が祖国防衛と位置付けるウクライナ侵攻に北朝鮮が参戦したりする可能性もゼロではなくなる。
プーチン氏は平壌で、第2次大戦の対日参戦で戦死したソ連兵の記念碑に献花。会談では「1945年にソ連兵は日本の侵略者から朝鮮半島を解放するため(抗日パルチザンと)共闘した」という歴史観を披露した。対ロ制裁を科す「非友好国」日本をけん制した形だ。
北朝鮮での日程終了後、プーチン氏は次の訪問国ベトナムの首都ハノイに移動。20日まで滞在し、最高指導者グエン・フー・チョン共産党書記長らと会談する。
〔写真説明〕19日、平壌で新条約に署名後、握手を交わすロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(AFP時事)
〔写真説明〕19日、平壌で会談後、記者発表に臨むロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(左から2人目)(ロイター時事)
〔写真説明〕19日、平壌で会談するロシアのプーチン大統領(中央左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(同右)(ロシアのスプートニク通信が配信)(AFP時事)
〔写真説明〕19日未明、平壌で握手するロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記=朝鮮中央通信提供(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/01/07
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/01/05
-
-
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方