【カイロ時事】イスラム組織ハマスの壊滅を目指すイスラエル軍は17日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファで活動するハマスの4大隊のうち、二つを解体したと発表した。イスラエル紙エルサレム・ポストなどが報じた。軍は数週間以内にラファ全域を制圧できそうだと説明。残る2大隊との戦闘も既に始まっているという。
 イスラエルはこれまでラファを「ハマス最後のとりで」と位置付け、5月上旬から「限定的」と称する地上作戦を継続してきた。報道によると、既に550人以上の戦闘員を殺害。軍は遺体を確認した数としており、実際にはさらに多いとの見方を示した。
 ラファには一時、最大8000人のハマス戦闘員がいたとされ、エルサレム・ポスト紙は「多くは市民に紛れて脱出した可能性が高い」と報じた。軍事作戦前は最大140万人がラファで暮らしていたが、軍は8割が避難したとみている。
 軍はこのほか、エジプトに通じるとみられる大規模トンネル25本も発見した。ハマスはこれらを利用して武器調達するなどし、軍事力強化を図ってきたとされる。
 一方、ハマスが拘束中の人質の解放交渉に当たるイスラエル高官は17日、AFP通信に「(人質のうち)数十人は確実に生きている。彼らを長期間放置し、死に至らしめることはできない」と述べた。その上で、ハマスが約束をほごにする恐れがあるとして「合意文書署名前の現時点で戦闘を終わらせるのは不可能だ」と強調した。
 ハマスは昨年10月のイスラエル奇襲で約250人を拉致。現在120人ほどがガザに残っているとみられ、軍はそのうち40人余りが死亡したと説明している。 
〔写真説明〕17日、パレスチナ自治区ガザで展開するイスラエル軍の車列(ロイター時事)

(ニュース提供元:時事通信社)