林工業西那須野工場(提供:林工業)

自動車やバイクなどの部品メーカーであるミクニのサプライヤー協力会「風の和」に所属する林工業(東京都大田区、林雄太社長)は、同協力会のBCP分科会リーダーとして、所属する数多くの企業のBCP策定支援を牽引してきた。担当者の存在しないサプライヤー各社がBCPに取り組めるよう、BCP分科会は積極的に関わる。この4月には「教科書」を発行し、各社のレベルアップを促している。

3つのポイント
❶効率的かつ効果的な活動のために「教科書」を制作
・時間のとれない企業のために、具体的にできることから提示


❷トップをターゲットに活動
・直接的な働きかけで、メッセージを確実に経営者に届ける

❸参加のハードルを可能な限り低くする
・懇親会や飲み会といった機会を利用する

サプライヤー協力会「風の和」

自動車やバイクなどの部品を製造するミクニのサプライヤー企業の協力会である「風の和」。そこに設置されているBCP分科会で3月までリーダーを務めていた林工業の取締役社長である林雄太氏は「外部からミクニのサプライチェーンは強固だと評価される機会が増えてきました。新たな仕事にもつながっています」と語る。

同社も含め 97 社が所属する風の和で、各社のBCP策定で中心的な推進力となっているのが 2014年に設置されたBCP分科会だ。風の和に所属する企業のうち毎年10 社ほどにBCP策定を支援。約10年の活動でミクニの協力企業でBCPを策定したのは85%を超えた。支援を受ける企業はBCP分科会に参加し、ミクニからBCPMeister(BCPマイスター)の称号を得た幹事会社などからサポートを受ける。

マイスター制度とは、企業のBCP達成内容から3段階にランク分けし、BCPの作成や改正を実施した企業に三つ星、BCMにより改善に力を入れた企業には四つ星、さらなる活動に注力した企業には五つ星を、ミクニが授与する制度だ。

BCP策定支援のファーストステップは「BCP策定ガイド」を使って行われる。リスクの洗い出しなど確認すべき事項を空欄で設定。組織体制を含め、調べて書いて埋めるとBCP策定に近づいていく仕様だ。補助金申請書の記載方法も記している。

この分科会活動の特徴はBCPマイスターが積極的に関与し、BCP策定を支える点にある。林氏は「1年で、高いレベルまで到達できる企業があります。例えば、当初は地震対策しかなかった企業が台風や豪雨からサイバーセキュリティーにまで取り組んだりします。どこまで到達できるかは担当者のやる気次第ですが、我々、支援側の活動が能動的なので、相手が受け身であっても取り組みは進みます」と語る。

林工業は2社しか授与されていない五つ星マイスターの1社だ。BCP分科会の活動はこのBCP策定支援に加え、年に2回、風の和の総会などで各社の取り組みを紹介する。また年に5、6回の会合を開き、意見交換や支援の確認などを行う。情報収集のために展示会に足を運んでいる。