【ワシントン時事】国際通貨基金(IMF)は17日公表したリポートで、人工知能(AI)が雇用に及ぼす影響を緩和するため、各国に失業保険の適用範囲を広げるといった社会保障制度の刷新を求めた。AI導入による格差拡大への対処で、「勝ち組」企業などへの課税強化も勧告した。
 AIの雇用への影響を巡っては、イタリア南部プーリア州で先週行われた先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、AI利用に関する「行動計画」をまとめる方針が首脳声明に盛り込まれた。
 リポートは、2000年代のロボット導入に伴って長期的な貧困率が若干上昇したと分析。生成AIの導入では、高スキルを要する作業も取って代わられる公算が大きいことから、「影響は一層幅広くなる可能性がある」と警告した。
 その上で、失業保険の範囲を自営業者のほか、アプリを通じて仕事を請け負う「ギグワーカー」などを念頭に置いた「非定型的な雇用契約」の労働者に拡大する必要性を指摘。転職で賃金低下を余儀なくされる労働者を一時的に支援する「賃金保険」の検討も訴えた。 
〔写真説明〕国際通貨基金(IMF)のロゴマーク(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)