【シリコンバレー時事】米アップルは10日、独自の生成AI(人工知能)「アップルインテリジェンス」を発表した。iPhone(アイフォーン)などの基本ソフト(OS)を刷新し、端末上のアプリの利便性をAIで向上させる。米オープンAIの「チャットGPT」とも連携し、生成AI分野での出遅れを挽回する。
 「最もパーソナルな製品を便利にする、パーソナルな知能だ」。クック最高経営責任者(CEO)は、米カリフォルニア州で開いた開発者会議で、新AIをこう表現した。生活必需品のスマホで、より利用者個人に寄り添った応答ができるとアピールする。
 アイフォーンは注力する中国での競争激化を背景に販売が鈍化。競合他社が生成AIサービスを打ち出す中、アップルは立ち遅れ、時価総額でマイクロソフトや半導体大手エヌビディアに抜かれた。
 苦境打開のため会議では、今秋から米国で先行してスマホやタブレット型端末、パソコンに英語対応のAIシステムを搭載したOSを展開すると発表。来年には他の言語にも対応する方針を示した。
 新AIでは自動でのメールの要約や下書きが可能。音声アシスタント「Siri(シリ)」で、対話や入力されたテキストの文脈を理解して回答を示せるようにもなる。さらに、メッセージ機能やメールをまたいで予定などを調べられる。技術を活用した外部企業によるアプリ開発も促す。
 より複雑な質問では、OSと連携したチャットGPTを使うこともできる。この場合、データは端末上ではなくクラウドサーバー上で処理されるが、オープンAIが個人のデータを収集できないよう保護すると強調した。
 広範なAI導入を打ち出した形だが、10日の米株式市場ではアップル株が前週末比2%安となった。実業家イーロン・マスク氏がオープンAIとの連携が実現すれば、自身が経営する企業でアップル製品の利用を禁じると言及するなど、早くも反発が出ている。 
〔写真説明〕アップルの年次開発者会議で発言するクック最高経営責任者(CEO)=10日、米カリフォルニア州クパチーノ(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)