2024/06/05
防災・危機管理ニュース
自動車の大量生産に必要な認証「型式指定」を巡る不正問題で、世界最大手のトヨタ自動車の本社が4日、国土交通省の立ち入り検査を受けた。グループの日野自動車や豊田自動織機、ダイハツ工業で次々と発覚した一連の不正問題は、ついに「本丸」のトヨタにも波及した。
トヨタでは7車種で認証試験の不正が発覚。このうち「ヤリスクロス」など宮城県と岩手県の工場で造る3車種は3日に出荷・販売を止めたが、生産についても6日から停止することを決めた。過去10年間の不正の有無に関する社内調査が続いているため、少なくとも6月末まで出荷を止める。
豊田章男会長は1月、日野自などで起きた不正を受け、自らグループの立て直しを主導する意向を表明した。だが今回、トヨタでも不正が行われていたことが判明。豊田氏は6月3日の記者会見で「会長になったが故に、現場の情報が少し遠くなっている」と苦渋の表情を浮かべた。
こうしたルール破りが1社だけでなく業界各社で横行していた背景として、豊田氏らが指摘するのが認証制度そのものが抱える課題だ。時代に合わない基準や、解釈が分かれるあいまいなルールが多く、豊田氏は「現場に負担がかかっている」と強調。制度の改善に向け、国交省などと協議する考えを示した。
ただ、ダイハツなどでは不合理な開発スケジュールや「上に物を言えない風土」も不正の原因と指摘されており、制度ばかりに問題があるわけではない。海外投資家に影響力がある米議決権行使助言会社グラスルイスは、相次ぐトヨタグループの不正について「2009年6月から(トヨタの)経営トップを務めてきた豊田氏に責任がある」と追及。トヨタが18日に開く株主総会で豊田氏の取締役選任議案に反対するよう株主に推奨しており、賛成率が23年総会の84.57%から減る可能性もある。
〔写真説明〕トヨタ自動車本社に立ち入り検査に入る国土交通省の職員ら=4日午前、愛知県豊田市
(ニュース提供元:時事通信社)

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