政府は31日、小林製薬の紅麹(べにこうじ)製品を巡る健康被害問題を受け、機能性表示食品制度の見直し方針を関係閣僚会議でまとめた。事業者に対する健康被害情報の報告義務化や、品質管理基準の導入などが柱。消費者庁と厚生労働省は今後、食品表示法、食品衛生法に関連する省令などの改正を進める。
 機能性表示食品制度では、事業者が安全性や機能性の科学的根拠などを国に届け出ることで、企業の責任として機能性を表示して販売できる。特定保健用食品(トクホ)と異なり国の審査は不要なため、安全性などの根拠が不明確との指摘が出ていた。
 見直し方針では、健康被害の拡大防止のため、重篤度に応じて何日以内に報告するかなど明確なルールを設け、速やかな被害報告を義務付ける。違反すると機能性表示をできなくさせたり、営業禁止などの行政処分を出したりできるようにする。 
 サプリメントについては、製造や品質の管理基準「GMP」のチェックリストを作成。事業者に自主点検を義務付け、必要に応じて消費者庁が製造設備を立ち入り検査する。初めて届け出られる機能性成分は販売までの期間を長くし、機能性や安全性に関する科学的根拠を専門家がより慎重にチェックする。
 事業者は年に1度、義務などを守っているか自主的に評価し、結果を公表する。事業者の情報に消費者がアクセスしやすいようウェブサイトなども改善する。
 自見英子消費者担当相は記者会見で「今後は特定保健用食品についても健康被害情報提供の義務化、GMPの導入を検討する」と話した。
 一方、武見敬三厚生労働相は閣議後記者会見で、現段階で小林製薬の行政処分は検討していないことを明らかにした。同社の紅麹配合サプリメントから、青カビ由来の化合物2種が検出されたことについては「直ちに問題があったとは言えない」と述べた。
 機能性表示食品制度の見直しでは、消費者庁の有識者検討会が23日に被害情報報告義務化などを提言。厚労省も対応を検討していた。(了)

(ニュース提供元:時事通信社 

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