シャープは14日、テレビ向け大型液晶パネルを製造している大阪・堺工場について、9月末までに生産を停止すると発表した。赤字が続く中、業績の足を引っ張る液晶事業を縮小し、採算の悪化に歯止めをかける。同時に発表した2024年3月期連結決算では、純損益が1499億円の赤字(前期は2608億円の赤字)と、2期連続の大幅赤字となった。
 記者会見した呉柏勲社長は、堺工場について譲渡を含め候補企業と協議をしており、「しかるべきタイミングが来たらご報告したい」と語った。堺工場は他メーカーも含めて国内で唯一のテレビ向け液晶パネル生産拠点で、操業停止により国内生産はゼロとなる可能性がある。
 25年3月期の純損益は50億円の黒字に回復する見通し。呉社長は記者会見で「持続可能な収益構造の確立が課題だ」と指摘した上で「今年度こそ全社で黒字化を成し遂げたい」と話した。
 同日発表した中期経営計画では、不振が続く液晶事業のてこ入れ策などを示した。堺工場を運営する子会社「堺ディスプレイプロダクト(SDP、堺市)」に関しては、インドの有力企業への技術支援や「AI(人工知能)データセンター」運営などへの事業転換を進める。
 製造に携わる人材は早期退職を募集する方針で、時期や人数は検討中という。工場の転換に必要な人員は再配置を予定する。スマートフォン向けなど中小型ディスプレー事業についても、他社との協業や生産規模の縮小で、収益改善を図る。 
〔写真説明〕オンラインでの決算会見で説明するシャープの呉柏勲社長(中央)=14日午後

(ニュース提供元:時事通信社)