【ワシントン時事】バイデン米政権は10日、パレスチナ自治区ガザで戦闘を続けるイスラエル軍について、米国製武器を国際人道法に違反する形で使用していると「評価することが合理的だ」と指摘する報告書をまとめ、議会に提出した。国務省が明らかにした。
 ただ、現地の状況から「決定的結論を下すのは困難だ」と説明し、違反と断定することは避けた。バイデン米大統領は、イスラエルが民間人の死傷者増につながるガザ最南部ラファへの本格侵攻に踏み切れば、武器供与をやめると警告。報告書は、国際法違反を理由とした武器供与の停止を勧告したわけではないが、米政府として自制に努めるようイスラエルへの圧力を高めた形だ。
 報告書は、イスラエル軍が被害軽減のための「見識や経験、手段」を有しているにもかかわらず、ガザでの作戦で多大な犠牲者を出していると強調。国際人道法で定められた民間人保護の取り組みに「重大な疑義を抱かせる」との認識を示した。
 米側は、イスラエル政府と情報を共有して報告書を作成した。しかし、国際法違反を疑われるケースの調査では、イスラエル側は「完全な情報」の提供に応じなかった。米国が供給した弾薬による被害に関しても、共有された情報は限られていたという。
 バイデン政権は2月、ガザ攻撃に対する内外の批判の高まりを受け、国家安全保障に関する覚書を公表。交戦中の国から国際法に違反しない形で米国製武器を使用するとの「信頼できる保証」を得るようブリンケン国務長官に指示し、国務省は各国の順守状況を議会に報告することになっていた。 
〔写真説明〕バイデン米大統領=8日(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)