2024/05/05
防災・危機管理ニュース
M&A(合併・買収)の活用方法が広がっている。自社を売却しながら本業の経営は担い、事務負担を軽減して「生涯現役」を続けるケースが出てきた。事業拡大に伴い必要になる人事や経理など間接部門の整備に悩む中小・新興企業を後押ししそうだ。
システム開発を手掛けるテクノミスト(東京)は「エンジニアが正しく評価され、長く活躍できる受け皿にしたい」との思いで2012年に設立された。技術力の高いエンジニアが在籍し、大手シンクタンクからシステム開発を受注するなど経営状況は安定していた。
堀田主税社長は、生涯エンジニアとして活躍するため自社の売却を決めた。技術者約10人の小所帯。堀田氏は現場に立つ傍ら、夜間や休日の時間を割いて労務管理や経理を担った。「(こうした業務で)人を雇うのはもったいない。自分でできない量でもなかった」というが、事業拡大に必要な採用などに時間を工面するのも難しくなっていた。
堀田氏の「余裕を持ってやりがいのある仕事を続けたい」との思いをかなえたのが、M&A助言のペアキャピタル(東京)だ。
求人広告を手掛け、システム部門の育成や拡充を必要としていたクリエイト(東京)を紹介。堀田氏が経営の裁量を持ちつつ経理などの事務は委任する形で22年に完全子会社となった。エンジニアとして本業に集中する「生涯現役」の環境が整い、グループの知見を得ながら採用なども進めてさらなる成長を見据える。
ペアキャピタルの田中哲社長は「成長に伴い増加する事務を外部に任せ、本業に専念したいというニーズがある企業は多い」と指摘。その上で、「中堅・中小企業にもこうした選択肢の可能性が徐々に増えてきている」と話している。
〔写真説明〕インタビューに応じるテクノミストの堀田主税社長(左)とペアキャピタルの田中哲社長=4月19日、東京都渋谷区
(ニュース提供元:時事通信社)
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