【エルサレム時事】イスラエルが長年の敵対国イランからの攻撃を阻止するため、国防上の警戒レベルを引き上げる措置を取っている。シリアで1日発生したイラン大使館領事部への攻撃で、イランはイスラエルの関与を断定し、報復を明言。ミサイル攻撃などを警戒するイスラエルは国内で全地球測位システム(GPS)の信号を遮断するなど、市民生活にも影響が出ている。
 イスラエルは、イランの精鋭部隊司令官ら十数人が死亡した領事部攻撃への関与を認めていないが、イラン最高指導者ハメネイ師は2日、イスラエルは「この攻撃を後悔することになる」と言明。ライシ大統領も「臆病な攻撃には対抗措置が取られる」と語った。
 AFP通信によると、イスラエル軍は、戦闘部隊に所属する兵士の休暇取得を取りやめたほか、防空態勢構築のため予備役を招集した。
 GPS信号の遮断はミサイルやドローンなどGPS情報を使って攻撃する兵器を無力化するために行われる。軍報道官は、GPS信号のブロックを認めた上で「われわれは防衛態勢を強化した。多くのシナリオに基づき、攻撃の準備も行っている」と述べた。
 市民の生活にも支障が生じている。英BBC放送によると、商都テルアビブなどの市民は位置情報を使うアプリが使用できないと説明。エルサレムにいながら、端末上ではエジプトのカイロにいることになっている事例も報じられた。
 ただ、軍報道官は「食料を備蓄したり、ATMで現金を下ろしたりする必要はない」と述べ、市民にパニックに陥らないよう呼び掛けた。
 ネタニヤフ首相は4日、イランについて「長年にわたり、われわれに敵対してきた」と指摘。「イスラエルはイランとその同盟勢力に対抗する。われわれを攻撃しようとする者は誰であれ攻撃する」と強調した。 
〔写真説明〕イランの最高指導者ハメネイ師=4月3日、テヘラン(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)