2024/03/21
防災・危機管理ニュース
【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は20日の記者会見で、保有資産の縮小ペースを「かなり早期に」緩める可能性を示唆した。ここ数年はコロナ危機や40年ぶりの高インフレといった難題への対応に追われていたFRBだが、物価の落ち着きを背景に、金融政策の正常化を進める機会をうかがう。
コロナ禍で打撃を受けた経済を支えるため、FRBは2020年、米国債などの資産購入を通じた量的緩和策を導入し、市場金利の押し下げに努めた。保有資産はコロナ前の倍以上となる9兆ドル(約1350兆円)まで膨張したが、インフレ高進に伴い、22年半ばから資産圧縮に転じた。現在の縮小ペースは月950億ドルで、7兆5000億ドル台に減った。
保有資産の縮小は「量的引き締め」とも称される。余剰資金を吸収するため、金融引き締めの効果がある。インフレの大幅な鈍化を受け、FRBは利下げ開始の時期を探るとともに、量的引き締めも緩和し、正常な市場環境での「十分な資金準備の水準」(パウエル氏)を見極めていく。
FRBが十分な水準にこだわるのは、前に資産縮小を進めていた19年9月、資金逼迫(ひっぱく)から短期金利が急上昇して市場が動揺し、緊急資金供給を余儀なくされた苦い記憶があるからだ。パウエル氏は「方針転換しなければならない状況に再び陥りたくない」と話した。
日銀が世界に先駆けて導入した量的緩和策は、08年のリーマン・ショック以降、利下げ余地がなくなったことでFRBなど主要中央銀行も採用し、コロナ危機でも活用された。「もはや異例の措置ではない」(FRB高官)とされる中、資産規模の正常化に適宜取り組み、次のショックに備える意図もありそうだ。
〔写真説明〕記者会見する米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長=20日、ワシントン
(ニュース提供元:時事通信社)
- keyword
- 米国
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/01/07
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/01/05
-
-
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方