東京大大気海洋研究所の伊藤進一教授らの研究チームは、水産庁などが集計した魚の体重データの分析などから、2010年代、日本近海の魚が地球温暖化の影響で小型化(体重の減少)していたことを確認した。餌の減少が原因と推定されるという。論文は28日、水産学などの国際科学誌に掲載された。
 温暖化で魚が小型化することは予想されていたが、一部の海域を除くと科学的な裏付けデータが十分ではなかった。
 伊藤教授らは、水産庁などが1978年以降、継続して集計しているマサバやマイワシなど13種(うち9種は95年以降)の体重データを分析。その結果、80年代と2010年代に、多くの魚種が小型化した時期があることが分かった。
 80年代の小型化は、マイワシが爆発的に増加した時期と一致。餌となるプランクトンを多くの魚が奪い合った結果と推定された。
 一方、10年代にはマイワシなどの顕著な増加はなく、海水の表層と下層の温度差が拡大していた。栄養分に富む下層の海水が表層と混ざりにくくなり、プランクトンが減少していたという。
 伊藤教授は「より厳しい漁業資源の管理が必要になる。世界的なデータを集め比較する研究も必要だ」と話している。 
〔写真説明〕過去最低の水揚げ量を記録し、小ぶりのものが目立った2022年のサンマ=22年9月20日、東京都江東区

(ニュース提供元:時事通信社)