はじまった副業禁止の破綻

(Midjourneyによる生成画像 提供:フクスケ)

独立行政法人労働政策研究・研修機構が令和5年5月19日に発表した最新の調査によると、副業が禁止されている職場では従業員の約7割(72.5%)が副業を会社に知らせていないことが明らかになりました*1

これは、今まで信じられてきたリスク管理のための副業禁止ポリシーが実は透明性を損ない、従業員が会社に副業について話すことをためらう状況を作り出していることを示しています。

人材難の昨今、副業が個人と法人にもたらすメリットは多いですが、それを隠して行う従業員が増えているのは企業にとって大きな問題です。副業を隠す理由は様々ですが、「個人的なことで言いたくないから」と答えた人が最も多く37.8%を占めています。

また、「伝えることで自身が不利益を被るか心配だから」と答えた人は20.8%で、特に正社員はこの理由で副業を隠していることが多いです。この調査は、副業を隠すことが従業員にとって簡単な選択であるという現実を示しています。

副業を隠す傾向が高いと、企業は従業員がどのような活動をしているかを把握できません。これは企業のリスク管理にとって大きな障害です。従業員が過労に陥ったり、企業の情報が外部に漏れるリスクが高まる可能性があります。

副業禁止ポリシーは、従業員が副業についてオープンに話せない環境を作り出し、結果的に重大な内部不正などの企業の潜在リスクを高めています。