【カイロ時事】国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)に対し、支援国10カ国以上が資金拠出停止を表明したことを受け、パレスチナ自治区ガザでは怒りと失望が広がっている。長年ガザを支援してきた日本政府も停止を表明。ガザ住民は時事通信の電話取材に「世界はわれわれを殺そうとしている。日本もその一員となったのか」と声を荒らげた。
 UNRWAを巡っては、職員12人が昨年10月のイスラエル奇襲に関与した疑いがあり、国連は特定した9人を解雇、調査を進めている。米国は1月26日、国連が適切に対応するまで資金拠出を停止すると発表。ドイツや英国、日本などが追随した。
 グテレス国連事務総長は「ガザ市民200万人が、日々を生き延びるためにUNRWAの援助を必要としている」と指摘。国連は、資金難で2月末にも活動中断を余儀なくされる恐れがあると危惧している。
 ガザ北部ガザ市から南部ラファに避難したガッサン・シードさん(33)は、壊滅的な人道状況のガザで、UNRWAだけが支援物資を提供する頼みの綱だと説明。拠出停止に関し、「UNRWAの誰かが関与していたとしても、ガザ住民全員が罰せられるべきではない」と怒りを爆発させた。
 同じくラファで暮らすアブライアン・アリさんは、「日本は私たちに同情し、多くのプロジェクトをガザで行ってくれた。しかし、私の日本に対する印象は悪い方に変わってしまった」と落胆した様子で語った。UNRWAの支援が滞れば、「人々は飢えで死んでしまう」。アリさんは「もう死んだ方がましだ」と嘆いた。 
〔写真説明〕国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への国際支援継続を訴える集会に参加した子供たち=1月30日、パレスチナ自治区ガザ南部ラファ(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)