政府は2日、ITを活用して世界各地を移動しながら働く「デジタルノマド(遊牧民)」を対象に、在留資格「特定活動」を与える新制度を発表した。6カ月の滞在と就労が可能になる。優秀な外国人材を日本に呼び込み、地域の消費拡大などにつなげる狙いがある。3月末までに関係する省令・告示を改正し、運用を始めたい考えだ。
 デジタルノマドはITやマーケティング、コンサルティングなどの仕事に従事し、国境にとらわれずにリモートで働く人々で、高所得者が多いとされる。推計で世界に3500万人以上存在し、市場規模は7870億ドル(約110兆円)に上るとする海外の調査がある。
 新制度は海外企業から報酬を受ける活動などを想定。要件として(1)ビザ(査証)免除の対象で、日本と租税条約も締結する国・地域の国籍(2)年収1000万円以上(3)民間医療保険に加入―などを設ける。出入国在留管理庁によると、米国、英国、オーストラリア、シンガポール、韓国、台湾など49カ国・地域が該当する。配偶者や子の帯同も認める。
 現在はデジタルノマド向けの在留制度がなく、就労が認められない90日間の「短期滞在」の資格で滞在する必要がある。経済界などが専用の資格創設を求め、政府は2023年6月に決定した「新しい資本主義のグランドデザインおよび実行計画」で同年度中の制度化を打ち出した。
 小泉龍司法相は2日の記者会見で、新制度について「イノベーションを創出する源になる」と期待を示した。 
〔写真説明〕リモートワークを行う人(資料写真)

(ニュース提供元:時事通信社)