ダイハツ工業は20日、国内で生産・開発している全28車種の安全性に関する試験で不正行為が確認されたと発表した。生産終了や海外向けを含めると64車種に上る。奥平総一郎社長は東京都内で記者会見し、「心よりおわびする。認証を軽視していると指摘されても仕方がない」と陳謝。同社は国内外で生産している全車種の出荷を停止する。経営への大きな打撃が避けられない見通しだ。
 今年4月に海外向け4車種で不正が発覚した後に調査していた第三者委員会は、最も古い事例で1989年に不正があったと認定した。長期間にわたって全社的に不正がまん延していた可能性がある。経営責任について、奥平社長は「再発防止に道筋を付ける」と事態の収拾に努める考えを強調し、早期の辞任を否定した。トヨタ自動車の中嶋裕樹副社長は「親会社としても責任を大きく受け止めている」と述べた。
 ダイハツは同日、第三者委の調査報告書を国土交通省に提出。新たに25の試験項目で174件の不正が判明した。一部の車種で衝突時のドアロック解除機能が法令基準を満たしていない可能性も浮上し、同社は安全性の確認を急ぐ。
 斉藤鉄夫国交相は首相官邸で記者団に対し、「ユーザーの信頼を損ない、認証制度の根幹を揺るがす行為で、断じて許されない」と強調。認証基準に適合していると確認されるまで出荷を停止するよう指示したと明らかにした。同省は21日に立ち入り検査を実施する。 
〔写真説明〕ダイハツ工業の試験認証不正に関する記者会見で陳謝する奥平総一郎社長(左)とトヨタ自動車の中嶋裕樹副社長=20日午後、東京都文京区
〔写真説明〕ダイハツ工業の試験認証不正で記者団の取材に応じる斉藤鉄夫国土交通相=20日午後、首相官邸
〔写真説明〕ダイハツ工業の試験認証不正で記者会見する第三者委員会の貝阿弥誠委員長(中央)=20日午後、東京都文京区

(ニュース提供元:時事通信社)