総務省は2022年3月29日、「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」を発表しました。政府が掲げる「デジタル田園都市国家構想」の実現のためには、光ファイバー・5G・データセンター・海底ケーブルといったデジタル基盤が不可欠であることを踏まえ、これらの整備に向けて一体的かつ効果的な対策を推進することが目的です。
デジタル田園都市国家とは何か
「デジタル田園都市国家構想」とは、岸田内閣の掲げる『新しい資本主義』を実現するために発表された、「デジタル実装を通じて地方が抱える課題を解決し、誰一人取り残されず、全ての人がデジタル化のメリットを享受できる心豊かな暮らしを実現する」という構想です。第205回国会の岸田文雄首相による所信表明演説において表明され、現政権の看板政策のひとつと言えるものです。
この構想では、どこにいても質の高い生活が可能になる「人間中心のデジタル社会」を理想像とし、地方と都市の差を縮め、都市の活力と地方のゆとりの両方を享受できる国を実現することが目標になっています。
なぜ今デジタル田園都市国家なのか
この構想の背景には、地域格差の問題が横たわっています。現在、地方では産業の空洞化や教育機会の減少によって高齢化・過疎化が猛スピードで進んでおり、さらにそれがインフラの衰退を招き、さらに過疎化が進むというネガティブ・スパイラルに陥ってしまっています。そんな課題を抱えた地方を活性化するために「デジタル化」でゲームチェンジを図ろうとする構想と言えるでしょう。
戦後の日本では一貫して、東京や大阪といった大都市への一極集中が進んできました。1970年代には都市と農村が融合した「田園都市」を全国に育て、それらが連携することで国を形成しようというビジョンが立ち上がりましたが、当時はインターネットのようなオープンでインタラクティブなネットワークはなく、実現しないどころか、むしろ当時より一極集中ははるかに進んでしまっています。
しかし今、テクノロジーが進化したことで、デジタル田園都市構想を実現するための要素技術がどんどん利用可能になってきています。それらを活用するために必要なインフラ整備を進めようというのが、今回発表された計画なのです。
インフラ整備計画
具体的に何が整備されるのかを見てみましょう。
「光ファイバー、5G、データセンター/海底ケーブル等のデジタル基盤が不可欠」という点から、これらインフラの整備が急速に推進されます。現在、まだ利用範囲が限られている5Gも、人口カバー率として2025年度末で全国97%、2030年度末で全国99%を目指すとしています。同時に、『Beyond 5G』、つまり6Gについての研究開発も加速されます。
具体的なロードマップは下記の通りです。
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