RICOH SG 3120B SF

普段使いから停電時まで幅広く業務をサポート

株式会社リコーは、災害など電力供給が滞る緊急時にも使用できるバッテリー搭載型ジェルジェット複合機「RICOH SG 3120B SF」の販売を開始した。コピー、プリンター、カラースキャナー、ファクスの4機能を備えたオフィス向けの複合機でバッテリーを搭載したのは世界初の試みだ。電力が途絶えた非常時にはコンパクトな本体に納められたバッテリーが「普段通り」のパフォーマンスを後押しする。同じクラスのレーザー複合機に比べ、消費電力を格段に抑えられるリコー独自のGELJET(ジェルジェット)テクノロジーがバッテリーの搭載を可能にした。速乾性と雨に濡れてもにじまない耐水性を備えたGELJETインクが緊急時の品質もサポートする。特別な増強なしに普段使っている複合機が緊急時にもそのままで使えるのがポイントで、企業や自治体のBCP対策として有効だ。

 

平時からの活用でトラブル回避 
災害時に複合機の必要性は急増する。被害状況の収集や安否確認、自治体や企業などから収集した情報の整理、各機関との連携など、官民問わずに複合機の果たす役割は非常に大きい。RICOH SG 3120B SFは、停電時でも利用できるというのが最大の特長。普段からオフィスで使っていれば、災害による停電発生時にもバッテリーで稼動し、そのままの操作性で使い続けることができる。さらに、電話回線が確保できる状態であれば、ファクスによるやり取りと合わせて、モジュラージャックの電源供給で稼動する外付け電話で通話することもできる為、確実かつ迅速な情報共有・伝達が行える。「日頃から使い慣れている複合機をそのまま利用することで、災害時にも時間を無駄にせず災害対策に移れる利点は大きい」とビジネスソリューションズ事業本部の福留剛氏は語る。 

東日本大震災時には電力がストップすると、携帯、固定電話が通じなくなり多くの通信網が事実上寸断された。リコーが行ったヒアリングによると、行政機関からがれき撤去などの復旧作業を建設会社に依頼しようにも連絡がとれず、すぐ対策に移れないジレンマに直面したという。特にファクスが使用不能になったときの影響は大きかったようだ。 

災からまもなく3年が経とうとしているが自治体に限らず、企業でもBCPの対策は現在でも十分とはいえない。同社画像システム開発本部の尾上堅太郎氏は「バッテリーを搭載したRICOH SG 3120B SFではマシン本体で逐次充電が行われるため、非常用電源の設置など新たにBCPを目的とした環境を整えなくとも災害時にそのまま利用できる」とメリットを語る。

消費電力を90%以上カット 
一般的なオフィスではレーザー複合機が主流だが、なぜジェルジェット複合機にしたのか。「GELJETテクノロジーを使った複合機は同クラスのカラーレーザー複合機に比べて電源投入時の消費電力を最大96%カット、動作時にも94%カットしている。これは60W電球の電力消費量とほとんど同じです」(尾上氏)。レーザー複合機ではレーザーによるドラムの露光、電極の違いを利用しトナーを付着させる現像、トナーを用紙に写し取る転写、熱によってトナーを紙へ貼り合わせる定着の過程を経るために消費される電力は大きい。それに引き換え、インクを吹き付けるジェルジェット複合機であれば使用電力を大幅に抑えることができる。「ジェルジェット複合機はレーザー複合機なみの機能を備えていても電力消費が少ない。ですから電力を効率的に使うニーズの高い学校や自治体の施設、病院、流通系の店舗などで採用されています」(福留氏)。 

非常用電源をすでに設置している自治体や企業にとっても、災害時に複合機の消費電力を抑えることは、貴重な電力をそれだけ他の用途に割り振れることになる。

東日本大震災ではUPSとセットで提供 
省エネ性能の高いジェルジェット複合機をベースにした、バッテリーを組み合わせた新製品開発のきっかけは、やはり東日本大震災だったという。震災直後に、要望のあった被災自治体を中心にジェルジェットプリンターとUPS(無停電電源装置)を65セット提供したところ大きな反響があった。津波で流された船の写真を撮影しプリントした漁業協同組合の人たちからは、濡れた手で触ってもにじまなかったとGELJETビスカスインクの速乾性と耐水性が高く評価された。 

消費電力の多いレーザー複合機にバッテリーを付加するには容量の大きなバッテリーが必要になりコストは大幅に上昇する。実際、リコーでも2013年9月からレーザー複合機用の蓄電池をFPSS-162GRの商品名で販売しているが、より幅広くニーズに応えられるようにする為にも、コンパクトで価格を抑えたモデルをラインナップに追加する必要があった。ジェルジェット複合機ならば消費電力が少ないためコンパクトなバッテリーで稼動でき、ビジネスモデルでありながらも本体の大きさは399(幅)×437(奥)×330(高)mmを実現。さらに実勢価格は7万円台後半に抑えている。

展示会やイベントでも活躍 


一方、災害時に限らず、展示会やフェア、競技会などのイベント会場に持ち込めば、電源の確保や配線周りの煩わしい作業にとらわれることなく簡単に社外でプリントとコピーができる。無線LANにも対応しているため完全なワイヤレスで印刷が可能だ。これまでの複合機の枠にとらわれない自由な発想での使い方を実現できるのも大きな魅力だ。

予備バッテリーで更なる事業継続が可能


気になるバッテリーはリチウムイオン電池で容量は14.4V4700mA68Wh。オプションとしても追加できる。予備として複数個ストックすることで、よりいっそうの事業継続やリスク軽減が可能となる。専用の充電器を購入すれば、RICOH SG 3120B SF本体のバッテリーを取り外すことなく予備バッテリーを簡単に充電できる。フル充電をした場合には1時間に100枚

ほど印刷しても約7時間は稼働できる。連続出力で約1000枚、 出力がなければ約17時間の待機が可能。バッテリーの寿命はおよそ3年だ。 

本体前面のUSBポートを介して携帯電話やスマートフォンの充電ができ、5V500mAまでの電源供給に対応したUSB機器が接続できるのも心強い。さらにピークシフト機能を搭載し、東日本震災後の計画停電のような状況や夏季、冬季の電力が逼迫する時間帯にバッテリー動作に切り替えることで社会的責任の一端を果たすことができる点も見逃せない。 

「労力をかけてBCP対策の環境を整えなくとも、RICOH SG 3120B SFを導入するだけで普段使っている複合機がBCP対策も担います。自治体や危機管理室を設置している企業、避難場所となる可能性がある学校や公民館などの公共施設、災害時の緊急対応が要求される医療機関や建設企業を中心に提案していきたい」と福留氏は意気込みを語る。


【お問い合せ】
株式会社リコー 東京都中央区銀座 8-13-1 リコービル
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製品に関する詳しい情報 ▶▶▶ http://www.ricoh.co.jp/printer/sg/3120bsf/