連結構造で安定性と効率性高める

新素材の開発などを手掛ける株式会社カワハラ技研(東京都中央区)は、放射線に汚染された土や汚泥などの廃棄物を収容する特殊構造の容器「デコポッド」を開発している。

同社によると、現在主流となっているフレコンバッグと呼ばれるポリエチレンやポリプロピレンといった化学繊維製の大型の袋を用いた保管方法では、数が増えるごとに処理が困難になってしまう。袋状であることから完全な密閉ができず、中の収容物が発酵するなど形が崩れてしまい積み上げが難しく、汚泥などが浸透して徐々に液漏れが起き、保管所そのものの放射性汚染度が高くなるホットスポットと呼ばれる事態も起きやすい。そのため一度集めたフレコンバッグの移動は時間が経つごとに困難になり、作業員の被曝量もそれに伴って大きくなるリスクがあるという。

こうした課題を解決するために同社が開発しているのがオーステナイトと呼ばれるステンレスの一種で作られた六角形の収容容器「デコポッド」だ。

本体そのものが金属製のため、従来のフレコンバッグに比べ16%以上放射線を抑えることができる。六角形の形状に加え、表面に凹凸を施すことで複数のデコポッドを密着して連結できるので、従来製品より大幅に省スペースが図れるのが最大の特長だ。安定性の高い構造は作業の効率化につながり、安全性向上にも貢献する。現段階では、上3段まで積み重ねることができるという。

環境省では除染物等工事共通仕様書にて、放射性汚染物の収容容器については耐候性試験900時間(屋外条件で3年程度に当たるとされる)をクリアしなければならないと定めている。条件によって左右されるが、同製品は10年~30年の長期間の使用に耐えられるという。オプションで、放射線を遮断する同社が開発した独自素材によるインナーケースを取り付けることも可能だ。

デコポッドは収容物の種類と汚染度別に計5種類を用意。価格は未定だが、福島第一原発による放射性汚染物を抱える東京電力や政府、自治体などの受注を見込み、購入しやすい価格帯を目指している。

写真を拡大展示されたデコポット(実物/左)。右は連結構造がわかるパネル