グループウエアのノウハウを凝縮

安否確認サービス

災害時に、社員の現況を的確に把握するシステムとして活用される「安否確認サービス」は、緊急時に一気にアクセスが集中するという特異性がある。これは、毎朝始業時にアクセスが集中するグループウエアと酷似しており、ユーザー数だけで想定されるアクセスイメージとは全く違った現実がそこには発生する。サイボウズスタートアップスでは、3.11東日本太平洋沖地震での教訓と、グループウエア構築のノウハウをベースに、現状で考えられるあらゆる対策を講じた安否確認サービスの提供を行っている。

緊急災害時の重要な通信手段である安否確認システムは、一瞬にして集中する膨大なアクセスを滞らせることなく処理しなければ機能が発揮できない。 

「自社サーバでのシステム構築には、事前準備と集中アクセスの推測に限界があり、システム増強も後手の対応となる可能性が高い」(山本氏)の言葉どおり、緊急時に想定を超えるアクセスが集中するという理由で、システムが機能しなくなってしまう事態を避けるためには、巨大なリソースを惜しげもなく利用できる体制構築が重要となる。

■クラウドサービスの活用でアクセス負荷を分散 
サイボウズスタートアップスの親会社であるサイボウズには、出社時間に一斉にアクセスが集中し、多大な負荷が発生する事例解決のためのノウハウの蓄積がある。しかし、5000人、1万人規模のユーザーを対象としたグループウエアでも、一斉同時に発生するアクセス負荷に対応するのが難しいというのに、災害時のような場合は比べものにならないほどのアクセス集中が予測できることから、自社でサーバを用意していては負荷分散が危ぶまれるという前提があったという。 

そこで、巨大なクラウドサービスを利用した安否確認システムが開発されることになる。クラウドを利用すると、アクセスが増加すれば自動的にサーバを増やして負荷を分散でき、アクセスがシャットアウトされるのを防げる。これが自前サーバとの大きな違いで、フレキシブルに負荷分散しているのがこのサービスの最大の特長だ。 

「アクセスが一時的に増加したときにサーバを増やし、安定してきたらサーバを減らしていくことができるので、安否確認サービスには最適です」(山本氏)と語るように、「緊急時の確実性」を実現するためのベストな方策と言えよう。

■国内の大災害を想定して海外のサーバを活用 
「安否確認サービス」風水害なは、ど、地震以外の災害にも対応できるが、自動送信できるのは、地震と津波で、風水害は手動で送信することになる。また、インフルエンザなどのパンデミック対策としては、体温測定を義務づけて報告させる予約送信も可能だ。 

しかし、日本国内で大災害が発生した場合、サーバが物理的に破損してしまうことを完全に回避することはできないため、同社では海外のサーバを活用することでサービスの継続をより確実にしている。現在、メインサーバをシンガポールに置き、バックアップを日本とアメリカに置いている。しかも、日本からのアクセスを分析し、ネットワークの問題がない場所を調査して、確実なサービスを提供できるシステムが構築されているという。


■エリア選択で確認メールの重複を解消 
大地震や大津波は、複数の都道府県にまたがることがあり、安否確認エリアの設定によっては、複数の確認メールが送られることがある。また、余震も本震と区別できないと、メールの本数を増やしてしまい、余計なストレスをかけることになる。 

そこで同社では、必要なときにだけ確認メールを送るというコンセプトのもと、いつくかのエリアに絞って登録し、その社員に関係の無いメールを送信しないように設定ができる。また、余震判定なども活用して「余震の場合は送らない」「余震として送るが応か答を必要としない」の設定を選べるようにしている。更には、全国のどこで地震が発生しても、運用管理者には通知を送ることが可能だ。 

エリアは、全国188カ所から設定できるので、企業の業態やそれぞれの活動範囲に合わせて設定できる。

■グループウエアで培ったコミュニケーション機能を活用 
同社の安否確認サービスは、グループウエアで利用されている「メッセージ機能」「掲示板機能」とを付加し、システム上でコミュニケーションできるという特長がある。 安否が確認され、集計がまとまると、それぞれの状況に合わせたメッセージを送ってコミュニケーションが取れるシステムになっているため、無事で安全が確保されている社員に対しては、出社指示や業務対応などを連絡し、けがや病気で移動が難しい社員に対しては、相応の対応や指示を出すといったことができる。しかも、社員の置かれている状況をグループ分けして、それぞれに適切な対応をするといったことも可能だ。 

素早く、簡単に「状況が見える」形が作り出せるため、社員個人個人の行動が組み立てやすくなり、企業側はリカバリーがいつから始められるかが把握できることになる。 

このようにコミュニケーション機能を持ち、双方向で情報伝達できるシステムは、通常業務に戻すための体制立て直しスケジュールの策定にも有用で、経営的にも必要不可欠になると考えられる。

■緊急連絡先のプライバシー保護を徹底 
緊急連絡先としては、会社のメールアドレス1つと最大3つのプライベート・メールアドレス、そしてツイッターのアカウントを登録できる。登録は氏名が表示されるだけで、個人情報であるメールアドレス、ツイッターアカウントはシステム管理者を含めて閲覧できないようになっており、プライバシーが保護されている。 

「月々6800円からの低価格で、2カ月間のお試し期間もあるという導入のしやすさとともに、この安心感は好感を持って迎えられています」(山本氏)と語る。

【お問い合わせ】
サイボウズスタートアップス株式会社 
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