医療以外にも船舶活用を

19日に東京都新宿区のヒルトン東京で行われたマーシー東京寄港記念シンポジウムでは、杏林大学教授で東京DMAT(災害派遣医療チーム)運営協議会会長の山口芳裕氏が「高度な医療を被災地に横付けでき、船内で医療を完結できる」とマーシーを評価。厚生労働省DMAT事務局長で日本災害医療学会理事の小井土雄一氏は、政府が検討する民間船や自衛隊艦船の活用について「民間船はヘリコプターの離着陸は困難で、設備面や指揮系統の面に課題がある。自衛隊艦船は災害への即応性も高く一定の設備も整っているが、訓練は必要だろう」と語った。公益社団法人モバイル・ホスピタル・インターナショナル理事長の砂田向壱氏は、民間資金を活用したPFI方式による病院船整備を提案した。

マーシーほどの大型で最新設備を備えたものが理想だが、陸上の被災の影響を受けないという観点からも、病院船の整備は検討に値する。発災時に必要な人員輸送においても道路や鉄道の被害の影響を受けない。また2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震では船舶を利用し、被災者に食事や入浴のサービスも提供している。医療以外にも利用価値が高い船舶を防災計画やBCP(事業継続計画)に取り込むのは一考に値するだろう。

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(了)

リスク対策.com:斯波 祐介