2018/06/21
防災・危機管理ニュース
医療以外にも船舶活用を
19日に東京都新宿区のヒルトン東京で行われたマーシー東京寄港記念シンポジウムでは、杏林大学教授で東京DMAT(災害派遣医療チーム)運営協議会会長の山口芳裕氏が「高度な医療を被災地に横付けでき、船内で医療を完結できる」とマーシーを評価。厚生労働省DMAT事務局長で日本災害医療学会理事の小井土雄一氏は、政府が検討する民間船や自衛隊艦船の活用について「民間船はヘリコプターの離着陸は困難で、設備面や指揮系統の面に課題がある。自衛隊艦船は災害への即応性も高く一定の設備も整っているが、訓練は必要だろう」と語った。公益社団法人モバイル・ホスピタル・インターナショナル理事長の砂田向壱氏は、民間資金を活用したPFI方式による病院船整備を提案した。
マーシーほどの大型で最新設備を備えたものが理想だが、陸上の被災の影響を受けないという観点からも、病院船の整備は検討に値する。発災時に必要な人員輸送においても道路や鉄道の被害の影響を受けない。また2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震では船舶を利用し、被災者に食事や入浴のサービスも提供している。医療以外にも利用価値が高い船舶を防災計画やBCP(事業継続計画)に取り込むのは一考に値するだろう。
■関連記事「国交省、都道府県に災害時船舶活用説明」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/5528
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方