BCMの訓練・演習をどのように新たなリスク発見の機会にするか(写真:写真AC)

■エクササイズの概要

中小企業の多くは、BCP完成後の活動、つまりBCMをほぼ「訓練・演習」に限定しているケースが目立ちます。しかもその訓練・演習はいわゆる従来型の防災訓練が主体であり、BCMに沿った発展的なことをやっている様子は見られません。

このような防災訓練だけではBCMとは呼べないので、ここではBCMに即した訓練・演習については区別して「エクササイズ」と呼ぶことにします。エクササイズには多種多様な訓練・演習がありますが、ここでは次の3つについてご紹介します。

シナリオベースの机上演習(写真:写真AC)

避難や初期消火、応急救護訓練など、手順をなぞって覚えるオーソドックスな訓練は「実働訓練」に属します。次に「机上演習」。これはシナリオベースの机上シミュレーションのようなもので、とくに対策本部メンバーが判断力や問題解決力を養うのに役立ちます。

実行できるかを確認するテスト(写真:写真AC)

最後は「テスト」です。これは正しい手順で実行できるか確認するものですが、いざ実行してみると頭で考えている通りにはうまくいかないこともある。例えば自動安否確認サービスを使った訓練などは、実働訓練の一つであるとともに、所定の時間内にすべての従業員から適切な安否メールが返信されるか否かをテストするという目的もあります。

筆者は前回、「訓練や演習を通じて改善意見や気付きが提示されることがあり、これが新たなリスクの発見につながるきっかけとなり得る」と述べました。今回は「机上演習(Tabletop Exercise:TTX)」をモデルケースとしてこの内容を掘り下げてみます。