リスク対策.comが行った地震シミュレーションアンケートの結果から、災害対策のポイントを学ぶシリーズもいよいよ最終回となりました。14回目の今回は、被災時の資金対策について取り上げます。下記の質問に対して、自社の取り組みがどの程度当てはまるか、ぜひ改めて組織内で考え、現状の対策を見直してみてください。

【質問28】

今回の地震による被災箇所の修復にはかなりの費用がかかることが見込まれます。あなたの組織では、あらかじめ、損害保険の加入など、被災時の資金対策について、しっかり対策を講じてきたと思いますか?

①全くそう思わない
②あまりそう思わない
③半々
④そう思う
⑤強くそう思う

⑥非該当/不明

さて、どうでしょう? 回答状況は以下の通り。

 

【質問28】

 
 

 

兵庫県立大学教授 木村玲欧氏のコメント


被災時の資金対策は、「リスクファイナンス」などと言われています。
経済産業省リスクファイナンス研究会(2005)『リスクファイナンス研究会報告書』によると、リスクファイナンスとは、「企業が行う事業活動に必然的に付随するリスクについて、これらが顕在化した際の企業経営へのネガティブインパクトを緩和・抑止する財務的手法」と定義されています。お金のことですので、専門家でないと難しいところがあります。火災保険、水災補償特約、地震保険などの各種保険について損害保険会社に確認する、災害時の借入の可能性について金融機関等と事前検討することが重要だと思います。災害融資の制度がある銀行も存在します。
関口訓央(2020)『我が国企業のリスクマネジメントの有効性向上に向けて』(商工金融、2020年9月号)によると、企業の最適なリスクファイナンス戦略として「自己資金」、「銀行借入」、「保険」をベストミックスすることが重要だが、企業への大規模アンケート調査を分析すると、災害による潜在的な損失に対して、多くの企業が保有する自己資金を「過信」しているということが明らかになっています。
BCP策定でここまでの対応は難しいかもしれませんが、災害時に必ず直面する問題です。該当する財務・会計・経理部門に問い合わせたり、もしくは、BCP策定・検証チームの中に、最初からこの部門の人をメンバーとして入れるなど工夫してもよいかと思います。