テレワークを「非常時の事業継続オプション」として生かすために(写真:写真AC)

■ニューノーマルよ、もう一度

新型コロナウイルスが蔓延し始めた頃から「ニューノーマル(新常態)」という言葉が流行り始めました。何かのきっかけで社会に大きな変化が起こり、その変化が(元に戻ることなく)定着することを意味するものです。

この言葉自体は、2000年代初め頃から使われていたようです。ビジネスモデルや経済論理の変革、あるいはリーマンショックの痛手からの回復にともなう資本主義経済に対する意識の変化といったものです。しかし結局、こうした意味合いでのニューノーマルが実質的な新常態として定着することはありませんでした。

ニューノーマルは定着するか(写真:写真AC)

現在のコロナ禍におけるニューノーマルはどうでしょうか。今回の場合は、もっぱらテレワークやオンライン会議など、ソーシャルディスタンスを確保するためのリモートワークの意味合いで使われています。が、これもまたかつてのニューノーマルと同様、元の状態、つまり「通勤型」の会社生活に戻りつつあるようです。もちろん、感染予防対策を徹底すれば、通勤型でも在宅型でも問題はないのですが。

しかし、大地震や気候変動にともなう災害が多発するであろうこれからの時代を考えると、テレワークやオンライン会議をBCPにおける「非常時の業務継続オプション」として生かすことは、十分に意義のあることです。

筆者がメディアの取材を通じてお話を伺ったことのある大企業O社は、沖縄にカスタマーサービス部門を持っているのですが、パンデミックが始まる以前から平時の業務体制としてテレワークを推進していました。この平時の業務体制の延長上に、台風(通勤不能)やパンデミック(感染リスク)への危機対応が有効に機能していることは言うまでもありません。