「防災のためにお風呂に水を貯めておく」ことが世代間の争いの火種に?(画像:Photo AC)

防災というのは、常々、多様な背景を持つ方をつなげる力があるのだなと感動することしきりなのですが、こと「お風呂に水をためるべきか」という問題については、逆に、争いの火種になっているという現状を目にします。読者のみなさまはこの問題にお気づきですか?今週はこれを検証します。

1月17日が近づくと、阪神・淡路大震災の時の体験談でもあった「お風呂に水をためておきましょう」という情報が、いつもより多く流れてくるように感じます。しかし、田舎に帰省した際、親に「お風呂に水をためろと言われて本当に困った」という意見が多くでてくるのが、この時期でもあるのです。
 
特に、子育て世代から若い世代にかけて、このような「困った」という声を訴える方が多いです。では、なぜお風呂に水をためたくないと思っているのでしょうか?

まず、お風呂の水をためたほうがいいよという理由が、いまだに災害直後にトイレの水を流すために必要という事であれば、これは世代を問わず止めて欲しいと思います。詳しくはこちら。

■間違っていませんか?災害直後、トイレに水を流すのはNGです!
災害時のトイレ問題 15の最新事情 【前編】

http://www.risktaisaku.com/articles/-/2236

配管が壊れている危険もあるので、今は、「緊急地震速報がなるような地震が起こったら、トイレの水は流さず災害用トイレを設置したほうがよい」というのが常識ですからお間違いなく!

だとしても、お風呂だと水をためられる容量は200L前後。配管確認後のトイレの生活用水に使う場合、2Lペットボトル100本だなんてそうそう備蓄できませんから、お風呂に水をためる最大の利点は、その容量にあるといえます。

小さな子どもがいる家では、お風呂に水をためるのは危険!

対して、お風呂に水をためないという最大の理由は、ちいさな子がいる家庭では、ためてはいけないと指導されるからです。

年齢別にみて、0歳から4歳までのこどもの死亡原因のうち、不慮の事故は、毎年上位にあがっています。

「平成29年 我が国の人口動態」(厚生労働省)より引用
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/81-1a2.pdf

そして、不慮の事故のうち溺死・溺水が20%を占め、そのうち風呂場での事故が半数という状況で毎年推移しているため、省庁のHPでは、「ちいさい子どもがいる家庭では浴槽に水をためない」とはっきり明記されています。