コロナ禍においても、気候変動への対策は待ったなし(写真:写真AC)

■気候変動への取り組みは先送りできない

今は新型コロナウイルス大流行の真っ只中にあります。私たちはコロナ危機の不安や生活の閉塞感の中で、別の危機に対して目を向ける余裕がなくなっているようにも思えます。

しかし、気候変動がもたらす影響は着実に進行しつつあります。

昨年11月、欧州では観測史上最も暑い秋を記録しました(AFP通信12月8日記事)。初夏から夏に入りつつあるオーストラリアは、本来は過ごしやすいシーズンですが、昨年11月28日(ちょうど晩春の頃です)にはシドニー空港で最高気温が43.0℃まで上昇、この時期の平均を15℃以上も上回る気温でした。同じく昨秋の米カリフォルニア州は記録的な山林火災に見舞われており、すでに220万エーカー(一昨年の約20倍を超える規模)の森林を焼失しています。

今は新型コロナウイルスの不安や警戒心で頭がいっぱい、気候変動など目を向ける余裕はないかもしれません。しかし地球規模のこの危機を乗り越えるということは、コロナ禍と同様、私たち一人一人が意識と行動を変えることを求められるということでもあります。

一人一人の意識と行動の変革が求められる(写真:写真AC)

「自分だけは感染しない」「国や医療機関がうまくやってくれるだろう」といった考えを持つ人がいるかぎり、パンデミックはなかなか収束しないでしょう。同様に気候変動問題と対策について、国内350万社の中小企業が「ガソリンや石油を使うななんて無理難題だ」「地球温暖化は世界の国や科学者が何とか解決してくれるだろう」などと考えていたら、惰性的に従来型の経済活動を続けることになります。

しかしそれは、気候変動の計り知れない脅威を後の世代に先送りするものでしかありません。