2017/11/30
防災・危機管理ニュース

防災科学技術研究所は29日、シンポジウム「地震津波火山災害に強い社会を目指して~全国を網羅する陸海統合観測網の誕生~」を東京・千代田区のイイノホールで開催した。防災科研は16日から陸と海の観測網を「陸海統合地震津波火山観測網」(愛称:MOWLAS/モウラス)として統合運用を開始。MOWLASに関する説明のほか、災害に関するパネルディスカッションなどが行われた。
MOWLASは1995年の阪神・淡路大震災を教訓に整備を進めてきた陸域の地震観測網や火山観測網のほか、2011年の東日本大震災を大きな契機として整備を進めている海域の地震・津波観測網を統合。拠点は約2100カ所に及ぶ。
冒頭、防災科研の林春男理事長は「行政・企業・研究者でMOWLASを誕生から進化へ持っていく。今後予想される南海トラフ地震や首都直下地震の被害軽減へどう利活用し、発展させるか考える」と挨拶した。
防災科研の青山真・地震津波火山ネットワークセンター長がMOWLASの全体概要を説明。特に東日本大震災以降、太平洋の北海道沖から房総沖までのS-netなど海域の観測網が整備され、陸域にしか観測網がない状態と比較し、津波で最大20分、地震で同じく30秒早く検知できるようになったことなどを説明した。
さらに東北大学の長谷川昭・名誉教授が基調講演を実施。海域観測網がJRの新幹線の緊急停止に導入されることを紹介。従来よりもJR東日本で最大20秒、JR東海で30秒、JR西日本で10秒早く反応する。また、現在は紀伊半島沖にとどまる海域観測網DONETの主に西側への拡大の必要性を強調。「南海トラフ対応の広域化を進める必要がある」とした。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
防災教育を劇的に変える5つのポイント教え方には法則がある!
緊急時に的確な判断と行動を可能にするため、不可欠なのが教育と研修だ。リスクマネジメントやBCMに関連する基本的な知識やスキル習得のために、一般的な授業形式からグループ討議、シミュレーション訓練など多種多様な方法が導入されている。しかし、本当に効果的な「学び」はどのように組み立てるべきなのか。教育工学を専門とする東北学院大学教授の稲垣忠氏に聞いた。
2025/04/10
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/04/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方