これが明海地区のBCP
企業連携による地区の強靭化

2010年4月公表の「明海地区事業継続計画(BCP)の構築に向けて」から

明海地区のBCPは①救急救命活動、②緊急帰宅支援活動、③帰宅困難者対応、④明海地区内道路等応急復旧、⑤重機、建機などの燃料確保、⑥事業所の応援復旧の相互支援体制、⑦事業所復旧の応援要員の緊急輸送、の7つを柱にしている。

防災協議会ではその中から、毎年テーマを決めて検討を行っている。例えば昨年のテーマは「救急救命体制の検討」「津波緊急避難体制の検討」「液状化発生と通行障害への対応検討」「情報伝達体制の検討」の4つだ。 

救急救命の課題では、明海地区内の就業者は約1万人で、被災直後に予想されるケガ人はおよそ1000人。そのうち重篤患者は10%の100人と想定される。それに対して地区内に常駐する医師は2名、看護師は8名。100人規模の重篤患者への対応は困難と考えられ、公的な応急救護や避難所などの施設を行政に対して要請していくことを検討している(図4)。 

津波緊急避難体制の検討では、2012年3月に発表された南海トラフ地震の被害想定で、明海地区に浸水高40センチ~1mの津波が予想された。調査の結果、明海地区の29事業所(2280人)で、避難空間が不足する事態も明らかになった。一方、受け入れが許容できる事業所は49社。避難空間の不足する事業所から余裕のある事業所への緊急避難を可能とする「企業間協働体制」を構築した(図5)。 


大規模地震などの災害が発生した場合、堤外地と言う特殊な事情がありながらも、前述のような企業間連携によるBCPによって地域産業の強靭化を図るのが明海地区のBCPだ(図6)。「個社のBCPが団地の惰弱性により障害が発生して中断してしまうことがないよう、明海地区は団地の企業連携のBCPで突破し、個社のBCPの支援をしていきたい」(金子氏)。