樋口会長(中央)は首都直下地震への備えの重要性を強調した

東京都は17日、「第20回耐震化推進都民会議」を新宿区の都庁で開催。建設業や住宅・不動産業など業界団体や学識経験者といった関係者が出席した。2018年1月15日から2月9日まで開催する「2018冬耐震キャンペーン」の実施内容を承認したほか、都の耐震化への取り組みの報告などが行われた。

冬のキャンペーンでは2018年1月16日に新宿区の都議会議事堂の都民ホールで「耐震フォーラム」を開催。今回は首都直下地震がテーマで、東京大学地震研究所地震予知研究センター長・教授の平田直氏による基調講演「首都直下地震等による東京の被害想定から考える首都の備え(仮)」などが行われる。また同日に同じく都議会議事堂で耐震化個別相談会も実施。同年2月には江東区にある清水建設技術研究所や墨田区の本所防災館、立川市の立川防災館や実際に耐震改修を行った事例を見学する、3コースの「防災体験・耐震改修バスツアー」も実施する。

都ではビル・マンションの耐震改修事例と安価で信頼できる木造住宅の耐震改修工法・装置の事例紹介を実施する。すでに募集した改修事例や工法・装置事例を選定したうえで、冬耐震キャンペーンの一環として新宿駅西口広場で2018年1月21~23日にかけて掲載したパンフレットを配布するほか、都耐震ポータルサイトでも紹介する。

都からは1万8455棟ある災害時の物資輸送で重要な特定緊急輸送道路沿道建築物の6月末現在の耐震化率が、2016年12月比0.9ポイント増の83.6%、4842棟ある旧耐震基準の建築物の耐震診断実施率は0.8ポイント増の96.9%、旧耐震のうち改修などが行われ、耐震性を満たす建築物の割合が3.2ポイント増の37.3%であることが報告された。

緊急輸送道路沿道建築物に対する助成件数については、2016年度は設計が前年度比61.0%減の66件、改修が23.2%減の195件。いずれも減少傾向で耐震改修推進へアドバイザーや都・区市町村職員による戸別訪問で働きかけを強化する。

耐震化推進都民会議は2008年度発足で10年目。今回が20回目の節目を迎えた。樋口冨雄会長(東京海上日動火災保険名誉相談役)は冒頭、「首都直下地震の危険性は切迫しており、都民の生命・財産を守るためにも耐震化の促進は不可欠。選定されたビル・マンションのほか木造住宅の耐震化事例や工法・装置について広報することを期待している。耐震化機運醸成へ啓発は有意義だ」とあいさつした。

■ニュースリリースはこちら
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/11/17/02.html

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リスク対策.com:斯波 祐介