2017/11/20
防災・危機管理ニュース

東京都は17日、「第20回耐震化推進都民会議」を新宿区の都庁で開催。建設業や住宅・不動産業など業界団体や学識経験者といった関係者が出席した。2018年1月15日から2月9日まで開催する「2018冬耐震キャンペーン」の実施内容を承認したほか、都の耐震化への取り組みの報告などが行われた。
冬のキャンペーンでは2018年1月16日に新宿区の都議会議事堂の都民ホールで「耐震フォーラム」を開催。今回は首都直下地震がテーマで、東京大学地震研究所地震予知研究センター長・教授の平田直氏による基調講演「首都直下地震等による東京の被害想定から考える首都の備え(仮)」などが行われる。また同日に同じく都議会議事堂で耐震化個別相談会も実施。同年2月には江東区にある清水建設技術研究所や墨田区の本所防災館、立川市の立川防災館や実際に耐震改修を行った事例を見学する、3コースの「防災体験・耐震改修バスツアー」も実施する。
都ではビル・マンションの耐震改修事例と安価で信頼できる木造住宅の耐震改修工法・装置の事例紹介を実施する。すでに募集した改修事例や工法・装置事例を選定したうえで、冬耐震キャンペーンの一環として新宿駅西口広場で2018年1月21~23日にかけて掲載したパンフレットを配布するほか、都耐震ポータルサイトでも紹介する。
都からは1万8455棟ある災害時の物資輸送で重要な特定緊急輸送道路沿道建築物の6月末現在の耐震化率が、2016年12月比0.9ポイント増の83.6%、4842棟ある旧耐震基準の建築物の耐震診断実施率は0.8ポイント増の96.9%、旧耐震のうち改修などが行われ、耐震性を満たす建築物の割合が3.2ポイント増の37.3%であることが報告された。
緊急輸送道路沿道建築物に対する助成件数については、2016年度は設計が前年度比61.0%減の66件、改修が23.2%減の195件。いずれも減少傾向で耐震改修推進へアドバイザーや都・区市町村職員による戸別訪問で働きかけを強化する。
耐震化推進都民会議は2008年度発足で10年目。今回が20回目の節目を迎えた。樋口冨雄会長(東京海上日動火災保険名誉相談役)は冒頭、「首都直下地震の危険性は切迫しており、都民の生命・財産を守るためにも耐震化の促進は不可欠。選定されたビル・マンションのほか木造住宅の耐震化事例や工法・装置について広報することを期待している。耐震化機運醸成へ啓発は有意義だ」とあいさつした。
■ニュースリリースはこちら
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/11/17/02.html
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
トヨタが変えた避難所の物資物流ラストワンマイルはこうして解消した!
能登半島地震では、発災直後から国のプッシュ型による物資支援が開始された。しかし、物資が届いても、その仕分け作業や避難所への発送作業で混乱が生じ、被災者に物資が届くまで時間を要した自治体もある。いわゆる「ラストワンマイル問題」である。こうした中、最大震度7を記録した志賀町では、トヨタ自動車の支援により、避難所への物資支援体制が一気に改善された。トヨタ自動車から現場に投入された人材はわずか5人。日頃から工場などで行っている生産活動の効率化の仕組みを取り入れたことで、物資で溢れかえっていた配送拠点が一変した。
2025/02/22
-
-
現場対応を起点に従業員の自主性促すBCP
神戸から京都まで、2府1県で主要都市を結ぶ路線バスを運行する阪急バス。阪神・淡路大震災では、兵庫県芦屋市にある芦屋浜営業所で液状化が発生し、建物や車両も被害を受けた。路面状況が悪化している中、迂回しながら神戸市と西宮市を結ぶ路線を6日後の23日から再開。鉄道網が寸断し、地上輸送を担える交通機関はバスだけだった。それから30年を経て、運転手が自立した対応ができるように努めている。
2025/02/20
-
能登半島地震の対応を振り返る~機能したことは何か、課題はどこにあったのか?~
地震で崩落した山の斜面(2024年1月 穴水町)能登半島地震の発生から1年、被災した自治体では、一連の災害対応の検証作業が始まっている。今回、石川県で災害対応の中核を担った飯田重則危機管理監に、改めて発災当初の判断や組織運営の実態を振り返ってもらった。
2025/02/20
-
-
2度の大震災を乗り越えて生まれた防災文化
「ダンロップ」ブランドでタイヤ製造を手がける住友ゴム工業の本社と神戸工場は、兵庫県南部地震で経験のない揺れに襲われた。勤務中だった150人の従業員は全員無事に避難できたが、神戸工場が閉鎖に追い込まれる壊滅的な被害を受けた。30年の節目にあたる今年1月23日、同社は5年ぶりに阪神・淡路大震災の関連社内イベントを開催。次世代に経験と教訓を伝えた。
2025/02/19
-
阪神・淡路大震災30年「いま」に寄り添う <西宮市>
西宮震災記念碑公園では、犠牲者追悼之碑を前に手を合わせる人たちが続いていた。ときおり吹き付ける風と小雨の合間に青空が顔をのぞかせる寒空であっても、名前の刻まれた銘板を訪ねる人は、途切れることはなかった。
2025/02/19
-
阪神・淡路大震災30年語り継ぐ あの日
阪神・淡路大震災で、神戸市に次ぐ甚大な被害が発生した西宮市。1146人が亡くなり、6386人が負傷。6万棟以上の家屋が倒壊した。現在、兵庫県消防設備保守協会で事務局次長を務める長畑武司氏は、西宮市消防局に務め北夙川消防分署で小隊長として消火活動や救助活動に奔走したひとり。当時の経験と自衛消防組織に求めるものを聞いた。
2025/02/19
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/02/18
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方