羽田空港の発着回数拡大へ都心を通るルートを導入することもあり、落下物対策を強化する(写真はイメージです)

国土交通省は6日、「落下物防止等に係る総合対策推進会議」の第1回会合を開催した。会合には有識者のほか航空機メーカーや成田・関西・中部の空港会社、航空会社の団体も参加。関西空港や成田空港発着の航空機からの部品落下が続いたことや、2020年東京オリンピック・パラリンピックへ羽田空港の発着回数を増やすため都心上空ルート導入を計画していることから、落下物防止対策の基準策定などを進める方針。今年度末の基準案とりまとめを目指す。

9月23日、関西空港発のKLMオランダ航空機から大阪市内でパネルが脱落し、走行中の車両に衝突。同7~8日には成田空港発着の同じ全日空機から、脱出用スライドの収納箇所のパネルが2度脱落。同27日に茨城県稲敷市の工場内で最初の脱落パネルを発見した。

国交省では空港を除いた地上で部品または氷塊を発見した場合は「落下物」、到着後の点検で部品がなくなっていることを確認した場合は「部品脱落」と分類。2007~16年度まで10年間の成田空港周辺での落下物は19件。ビニールハウスや車両、屋根瓦への物損被害は5件あった。部品脱落は一定の規模以上の部品の脱落は報告義務がある。2009~16年度までの8年間での報告件数は451件。空港内で部品を発見したのは91件で、残りは空港内で発見できていない。

国交省では飛行経路の見直しにより羽田空港で年間約4万回発着回数を増加させ、約49万回とする計画。現在は海上を中心に経路を取っているが、到着時に東京・品川区や新宿区、渋谷区、港区上空などを通る新ルートを導入する。騒音以外に落下物に対する懸念の声も大きい。

今後、落下物の未然防止へ対策基準を策定するほか、補償制度の充実も図っていく方針。基準は日系だけでなく日本に乗り入れている外国航空会社に対し、部品脱落や着氷への対策について技術基準を規定することが見込まれる。国交省は総合対策推進会議の下にワーキンググループ(WG)を設置。今月中に第1回を開催し、計3回をめどにWGで専門的に議論。2018年3月に推進会議で対策基準案のとりまとめを行う予定。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介