2017/10/20
防災・危機管理ニュース
東京都は19日、警視庁、東京消防庁と合同で東村山市の東村山浄水場でテロ対処訓練を実施した。これに合わせ、「東京都水道局テロ対策パートナーシップ」と題した制度を創設。同浄水場近隣の自治会とテロ対策協定を締結し、近隣住民も同浄水場での訓練を見学した。今後、不審者や不審車両の発見や通報で協力する。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けたテロ対策強化の一環で、都水道局によると水道施設と近隣住民とのテロ対策協定は国内初という。
この日東村山浄水場で行われた訓練では犯人2人が乗った車が警備員をはねながら浄水場内に侵入。1人は刃物を持って暴れ逃走するが、もう1人は化学物質の入った袋を事務所玄関付近で投げ、職員や犯人が中毒で倒れてしまう。警視庁からNBC(核・生物・化学)テロ捜査隊、東京消防庁から化学機動中隊が駆けつける。化学物質をサリンと断定。消防は除染を行い、警察はサリンの袋を投げた犯人を除染後に逮捕。刃物を持った男も発見し、暴れるが取り押さえて終了した。
また新宿区の都庁ではこの事件が起こったタイミングという設定で、都水道局が緊急事態対処本部を立ち上げた訓練も実施。中嶋正宏・都水道局長を本部長とし、同局の部長クラスや都監理団体の東京水道サービスとパートナー企業でコールセンター業務などを手がけるPUCの関係者も参加。テレビ会議で立川市にある多摩水道改革推進本部もつなぎ、事態の情報共有や各施設の点検を行うことを確認した。
両方の訓練に参加した中嶋局長は東村山浄水場での訓練で「都ではオリンピック・パラリンピックへテロ対策を進めているが、上水施設も狙われる可能性がある」と警戒。近隣住民とのパートナーシップについて「見守りはテロ抑止力となる。不審者や不審な車、荷物などがあれば110番通報するか浄水場に知らせてほしい」と述べた。都水道局ではほかの施設でも自治会を通じ同様の協定を締結し、見守りで協力を呼びかける方針。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/01/07
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/01/05
-
-
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方