第112回:パンデミックが後押しするクラウドの活用
LogicMonitor / Evolution of IT Research Report
合同会社 Office SRC/
代表
田代 邦幸
田代 邦幸
自動車メーカー、半導体製造装置メーカー勤務を経て、2005年より複数のコンサルティングファームにて、事業継続マネジメント(BCM)や災害対策などに関するコンサルティングに従事した後、独立して2020年に合同会社Office SRCを設立。引き続き同分野のコンサルティングに従事する傍ら、The Business Continuity Institute(BCI)日本支部事務局としての活動などを通して、BCMの普及啓発にも積極的に取り組んでいる。一般社団法人レジリエンス協会 組織レジリエンス研究会座長。BCI Approved Instructor。JQA 認定 ISO/IEC27001 審査員。著書『困難な時代でも企業を存続させる!! 「事業継続マネジメント」実践ガイド』(セルバ出版)
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IT基盤を総合的にモニタリングするプラットフォームを提供しているLogicMonitor社は、2020年7月28日に同社が独自に行ったアンケート調査の結果を「Evolution of IT Research Report」として発表した。
調査は2020年5月から6月にかけて行われた。回答者は米国およびカナダから200人、英国から150人、オーストラリアおよびニュージーランドから150人の合計500人で、役職は役員からチームリーダーまでさまざまではあるが、いずれも所属する組織における、ITに関する意思決定者とのことである。
まず調査ではBCPの状況について尋ねた結果が記載されている。図は省略されているものの、回答者が所属している組織のうち86%で既にBCPが準備されているとのことである。しかしながら、組織の危機管理計画(their organization’s crisis plan)に関して「とても確信を持っている」(feel very confident)と回答しているのは、わずか35%である。
また、組織のIT基盤が様々な危機的な状況に対して十分に準備されていると回答したのは36%だという。危機的状況の最中でもIT部門がシステムの稼働状況を維持できるかという質問に対しては、39%が「とても確信している」(very confident)、54%が「ある程度できると思う」(somewhat confident)と、それぞれ回答している。このような結果から本報告書では、IT部門はインフラが危機に立ち向かう能力に自信を持っていないと結論づけられている。
図1は今年のパンデミックに対してIT部門が実施した対応策(注1)を多いものから順に並べたものだが、「生産性向上のためのツール(例えばZoom、Office365、Slack)への投資を増やす」と「クラウドの利用を増やす」とがほぼ同率でトップとなっており、在宅勤務やリモートワークの拡大に伴って業務をオンラインに移行させた状況が見て取れる(注2)。
また「ITのモニタリングへの投資を増やす」という回答が35%ある(注3)。その理由や背景についての考察は特に記述されていないが、リモートワークの増加に伴ってセキュリティー上の懸念(例えば不正侵入など)が増加することや、IT部門のスタッフがリモートワークとなることでシステムの稼働状況が把握しにくくなることが、追加投資の理由なのではないだろうか(筆者の推測である)。
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