洪水時、長靴→×、運動靴→〇で本当にいいの?(出展:Photo AC)

秋の台風の進路が気になる今日この頃ですが、台風や豪雨の対策はもう万全ですか?このところ連日各地で防災講座を実施しているのですが、最近、とても気になる質問が増えてきたなと感じています。それは、「洪水などで避難する時、『長靴→×』『運動靴→◯』なんですよね!」ってもの。

「え?それ、テレビでも言ってたけど間違ってるの?」なんて、いま、この瞬間に思ってしまった、あなた!もしかすると◯×思考に毒されているかも!!!この、◯×で覚えてしまうのって本当に怖いなと思うのですが、『長靴→×』『運動靴→◯』って覚えてしまっていて、いついかなる時でも紐の運動靴で、洪水の中、避難すべきと思っている方に何人もお会いしています。

そして、運動靴で逃げなければいけないなら、濡れると気持ちが悪いから、もう逃げるのは無理だと思っていたという声までお聞きしました。早期避難が可能である場合であっても、濡れるから逃げられなくなると思いつめてしまう『運動靴→◯』の発想って、うーん。。。

正直なところ、私は、水の中で運動靴は履きません。運動靴の種類は、人によって思いつくものが結構違うので(年代によっても違うようです)、キャンパス素材のいかにも水が染み込み重くなるようなものではない、ポリエステル素材でメッシュも入ったような、軽快な運動靴ということにしたとします。

で、それを履いて水の中を歩いてみてください。多分やる人は少ないと思いますが、そんな素材でもやったら歩きにくいです。とても。なぜかというと、水が抜けないので、紐をきつくしばっていても、側面(上部も生地そのものからの染み込みも含めて)や、かかとから水が入り込み、ガポガポします。そして、地面をふみつけるたびに、側面やかかとから水がにゅるっと動くのです。これ、歩きにくいし、気持ちがよくないのです。

もっとも、私が実際に体験した「にゅる感がやだー」なんて言うのは気持ちの問題として、スルーできる人もいるかもしれません。でもね、洪水って細菌感染の危険もあるのです。だから運動靴で濡れるのはリスクを伴う行為でもあります。

さらに、濡れると、体温が下がりますよね。水の中は空気よりも体温を奪います。台風や豪雨が心配になる時期は日本全国でおおむね6月くらいから10月と言われています。そのうち秋以降の雨の場合、外気温も下がっています。秋の雨では、運動靴で水に入ると、体を冷やしてしまって低体温症のリスクも高まります。

でも、目の前に長靴と運動靴しかなく、長靴の危険が運動靴のリスクよりも高い場合には、運動靴を選ぶことをお勧めします。

だから、『長靴→×』『運動靴→◯』って覚えるだけでは臨機応変な対応できなくなるだけなので、長靴がどんな場面で使えないか、そのことをしっかり知っておいて欲しいです。

それについては、以前こちらの記事に詳しく書きました。

■梅雨にもフェスにも災害時にも便利な長靴はどれ?
洪水時、歩いて逃げられる水位は大人も子どもも膝から下まで
http://www.risktaisaku.com/articles/-/1855?page=3

ロジックとしてはこうです。

膝以上の水位では体ごと流されやすいので避難できない。

膝以下でも動水圧が強ければ体ごと流されやすいので避難できない。

長靴は膝丈以下であることが多い。長靴の高さで水が入ってきてしまうので、膝丈以下で避難しても体ごと持って行かれてしまう。

長靴は脱げやすいものが多い。避難しにくく体のバランスを崩しやすいから避難で危険になる。

であるならば、脱げにくく、膝丈まである長靴であれば避難に使用できる。濡れないので、避難の心理的抵抗も薄い。それが安全靴であればなお安心。


ということで引用の記事ではおすすめ長靴を掲載しました。