本気の環境政策を展開する中国政府(写真:写真AC)

今回は、中国に現地法人を設立し、何らかの生産活動を開始する場合に必ず通過することになる「環境影響評価」について、説明いたします。

リスクを回避するという意味では、この「環境影響評価」をどのように取得するかが何よりも重要であり、将来に遭遇するであろう全ての諸問題の「鍵」となることをまずご理解いただく必要があります。

これまでにも、この環境影響評価書(もしくは表)を中途半端に取得したがゆえに、数年後に法的な後ろ盾を持つことができず、行政処罰だけでなく、極端な場合は撤退もしくは工場移転などという憂き目に遭った日系企業も少なくありません。

したがって、今回はまず中国における環境影響評価制度とはどのようなものかの基本をご理解いただこうと思います。

■環境影響評価法

写真を拡大 図1:環境法体系と環境影響評価法

上の図1をご覧になってください。

中国では、憲法26条に「国家は、生活環境と生態環境を保護改善し、汚染その他の公害を防止すること」と定められており、日本と同様に国家がその責務として環境保護を行うことを約束しております。

そこで、そのための各種法律が存在するのですが、各種汚染防止法と横並びで「環境影響評価法」が定められ、国内にて行われる事業活動、特に生産工場などの建設運営を「項目(プロジェクト)」とし、その項目を開始するにあたり必ず「環境影響評価」を受けることが義務付けられております。