■海外のリスク管理
スズキはこれまで、他の自動車メーカーが進出していない地域に進出することで、海外市場を開拓してきた。インド、パキスタン、カンボジア、ラオス…、ハイリスクカントリーとされる国も少なくない。そこでビジネスチャンスをつかむには、現地の協力が不可欠になる。日本の常識で、現地のリスクを管理しようとしても、現地の実情を知らなければ管理できるはずがない。 

一方、スズキはどの国の事業でも、日系企業の中では、派遣される日本人駐在員の数が比較的少なく、現地のことは現地に任せるという方針のようだ。だとしたら問題は現地の経営層が、現地従業員とのコミュニケーションをしっかり取りながら、事業を進められるかどうかだ。 スズキの関係者も、労働環境を含めた管理が甘かったことは否定できないと話す。 

しかし、繰り返しになるが、これらはスズキだから起きた問題でも、インドだから起きた問題でもない。特に新興国に進出する企業なら、すべてにおいて同じことが起こり得る。文化、考えが違う現地従業員といかにうまく付き合っていけばいいのか、本当の意味での企業の国際化が求められている。