ランサムウェアに感染したPCに現れた警告文。足のつかないビットコインの身代金を請求している。デスクトップのアイコンは全て真っ白になり、開くことができない

AOSデータはランサムウェア特化型の対策ソリューション「ファイナルランサムディフェンダー」を4月5日から発売。世界中に被害が拡大していることから、現在では30日間の無償提供も実施している。他社のウィルス対策ソフトと併用もでき、価格は1クライアント当たり2698円(税込み)。

ランサムウェアはコンピュータに不正にインストールされ、ユーザーのデータを勝手に暗号化。犯人は暗号を解くためのパスワードを送る代わりに身代金を要求するマルウェアの1つ。

米ロサンゼルスの病院では2016年2月にランサムウェアによって患者のデータなどを暗号化され、身代金として1万7000ドル(約200万円)相当のビットコインを支払ったという。韓国ホスティングサービス企業のNAYANAは今年6月10日にランサムウェアに感染。最終的に13億ウォン(約1億5000万円)を支払うことで妥結したが、経営に深刻な影響を及ぼしている。

日本国内でも今年5月以降で大手メーカーやインフラ会社、流通小売業などで感染が多発し、いずれも長時間にわたり業務がストップするなどの影響が出ている。

ランサムウェアの被害について話す同社の内山氏

同社執行役員CIO情報システム部長の内山勇二氏は「ランサムウェアに感染した場合、犯人に身代金を払ったとしても回復する確率は一般的に50%以下と言われている。ランサムウェア専用の対策プログラムが必要」と話す。

「ファイナルランサムディフェンダー」は①マルウェア検査②おとりファイル診断③ふるまい検知④フォルダの保護の4段階でパソコンを保護。さらに自動のファイルバックアップシステムにより、万一ランサムウェアに感染した場合でもファイルを感染直前の状態に復元することができる。

内山氏は「現在、ランサムウェアからユーザデータを守れる完璧な対応策はない。予防策として本ソフトを入れるとともに、できれば普段からクラウドにデータのバックアップをとるなどの対策を施してほしい」としている。

ソフトによって復元されたところ。デスクトップにあったエクセルやPDFのファイルが回復している

同社は破損したハードディスクの復旧や、警察や弁護士に対して犯罪捜査上で必要な電子鑑識(デジタルフォレンジック)などを手がける会社として1995年に設立。現在ではクラウドデータバックアップにAIを活用し、画像やテキストを検索しやすくしたサービスなどを幅広く展開している。

ハードディスク復旧作業にあたる同社の社員。データ復旧作業には今でも毎月1000件ほどの電話での問い合わせがあるという

■ニュースリリースはこちらから
ランサムウェア対策ツール30日無償版を提供
http://www.aosdata.co.jp/security-freetrial/

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http://www.risktaisaku.com/articles/-/2976

(了)