取り組みを支える職員の思い

千代田区は人口が増えています。平成30年9月時点では6万2945人。令和元年9月時点では6万5358人。1年で約2400人増加しました。

住民サービスとしての防災の基本は、天下の千代田区であっても変わりません。前述の加藤さんは住民、各機関と顔の見える関係を築きながら、取り組みを進めています。

「子どもが生まれてから4カ月後に、東日本大震災が発生しました。妻も私も初めての子育てで、しかも男の子と女の子の双子です。当時はいろいろな情報が出回っていました。実体験として、何かしら防災に対する知識が必要だったと思っています」(加藤さん)

現在は都庁からの派遣で千代田区に来られている加藤さん。発災当時は、議会局を担当し、東京都で行われる議会の最終日でした。

「総合防災部が先発で東日本に行き、何班かが応援部隊で現地に入っていました。職場も慌ただしく動くなか、家にいる妻と子がとても心配でした」と、当時の不安だった状況を話してくれました。防災講座を推進しているのは、自分たちと同じように子どもを抱えるお母さんのため、防災に関する情報を少しでも伝えたいという思いからです。

「都庁とは違う距離感で住民の方と対話しながら、取り組みを進めることができています」と語る加藤さんの表情は、ご自身が感じた不安や欲しかった情報を、もっとしっかり伝えたいという使命感に満ち溢れています。

対話を大切にし、一つ一つの計画を立てる加藤さん
(了)