写真を拡大 「ここにいてはダメです」と書かれ、反響を呼んだ江戸川区の水害ハザードマップの表紙(出典:江戸川区ホームページ)

最悪9割浸水

台風19号では東京都内、とりわけ低地で荒川沿いの足立区、江東区、江戸川区、葛飾区、墨田区のいわゆる江東5区の被害が懸念された。大きな被害は出なかったものの、背後には広域避難を行うかどうかも含めたあわただしい動きがあった。表紙に「ここにいてはダメです」と書かれた水害ハザードマップを5月に配布し、ネットやマスコミで話題となった江戸川区の動きを取材した。

江戸川区が配布したハザードマップでは、区の陸域の7割が満潮時の水面より低いゼロメートル地帯であることや河川の水位が区内のほとんどの標高より高い位置にあること、荒川など河川氾濫や高潮で最悪9割、最高で水深10メートルの浸水がある可能性があることが示されている。垂直避難を行っても、上下水道や電気といったライフラインが使えない状態で、不衛生な中2週間以上生活しなければならない可能性も説明されている。さらには大水害で江東5区のほとんどが浸水することが書かれ、このエリアから出るいわゆる広域避難の必要性も触れられている。

ただし江戸川区のBCP(事業継続計画)は水害に特化したものは作成を検討中で、現在は2015年3月に策定した地震対応のものに準拠し、発災時の体制作りなどをしているという。