昆正和の「これでいいのか!本当に必要なのは命と会社を守るBCP」
第6回(最終回):重要業務の継続は「できること」をやればよい
BCP策定/気候リスク管理アドバイザー、 文筆家
昆 正和
昆 正和
企業のBCP策定/気候リスク対応と対策に関するアドバイス、講演・執筆活動に従事。日本リスクコミュニケーション協会理事。著書に『今のままでは命と会社を守れない! あなたが作る等身大のBCP 』(日刊工業新聞社)、『リーダーのためのレジリエンス11の鉄則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身 (ヤマケイ新書)』(山と渓谷社)など全14冊。趣味は登山と読書。・[筆者のnote] https://note.com/b76rmxiicg/・[連絡先] https://ssl.form-mailer.jp/fms/a74afc5f726983 (フォームメーラー)
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■業務プロセスの洗い出しという不毛の作業
この最終回では、BCPの中でも最もBCPらしいテーマ、「重要業務の継続」について考えてみたいと思います。「重要業務」とは、会社の事業が停止したときに、いち早く立ち上げなければならない復旧優先度の高い業務群のことを指します。
BCPの原則論にしたがえば、重要業務を特定するためには、まず「どこでどんな業務が行われているか、そこではどのような経営資源が使われているかをすべて洗い出し、業務プロセス全体を可視化しなければならない」としているのです。
しかし大企業のように業務の流れがとても複雑で全貌がつかみきれない場合は別として、一般中小企業の場合は「組織図」や「業務フロー図」などを手元におけば、主要な業務もそこで使用している経営資源もすぐに把握できてしまいます。なぜBCPの原則論では、こんなややこしいことを要求するのでしょうか。
言うまでもなく、それはもともと「IT業務」を念頭に置いた手順だからです。火災やテロで会社のシステムが使えなくなると仮定する。取り急ぎバックアップサイトに必要最小限の業務機能を立ち上げるとしたら、必要なのはどのサーバ、どのアプリケーション、どのデータなのか。これを特定するためには、ネットワークで複雑に絡み合ったIT業務をすべて洗い出さないと、相互の依存関係や機能の重要度が見えてこないからそうするのです。
このようなわけで、「重要業務」を特定するためにすべての業務プロセスを洗い出すなどという作業は、IT業務以外は時間のムダと言ってもよいのです。もっとシンプルに「災害時に他を差し置いてもこれだけは率先してやり遂げなければならない業務は何か?」を自問自答すれば、すぐに重要業務は見えてくるでしょう。
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