2012/03/25
事例から学ぶ
災害発生時、早期の事業復旧を実現する上で重要な鍵となるのが、組織を1つにまとめあげるリーダーシップだ。仙台市に本社を置くアイリスオーヤマでは、3月11日の東日本大震災で、角田市にある主力工場である角田I.T.Pが被災した。混乱する状況の中で、代表取締役社長の大山健太郎氏は直ちに現地に飛び、トップ自ら事業継続の方針を打ち出すことで、現場を1つにまとめ早期の事業再開を実現した。
アイリスオーヤマは、生活用品や家電製品の製造・販売を行う。取り扱う製品は、収納用品、家具製品、家電製品、ペット用品など多岐にわたり、その数は1万4000点にも及ぶ。
角田I.T.Pは、製品開発を行う研究施設や従業員用の研修施設、お客様相談窓口、プラスチック製品を生産する工場など、同社の主力拠点として、多くの施設が集中する。3月11日の東日本大震災では、震度6弱の揺れを観測し、同敷地内にある全施設の電気、ガス、水道すべてのインフラが一斉に停止した。従業員に被害はなかったものの、施設内では、多くのキャビネットが倒れ備品が散乱したほか、多目的ホールの天井が落下。工場内では、物流自動倉庫の棚から多くの荷が落ち、荷物を積み下ろしするクレーンが一時的に動かせない状態となった。
震災当日、千葉県幕張市の展示会を訪れていた代表取締役社長の大山健太郎氏は、震災発生後すぐに仙台の本社に戻ることを決意。翌々日の13日には角田工場に到着し、従業員の安否や、製造・物流面での被害状況を確認した。社員こそ無事だったが、県内沿岸部は津波の被害が大きく、また親類や知人に犠牲者や行方不明者が出たという社員も多く、すぐに仕事に集中できるような雰囲気でなかった。
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