「お金はほとんどかかっていません」運営のノウハウ


(1)助成金の活用

開催中、500人以上が訪れたこのフェス、ほとんど経費がかかっていないというから驚きだ。そこでざっくりした内訳を聞いてみると……。

●川崎市の「自主防災組織活動助成金」の活用 
●各マンションの自治会費からそれぞれ支出(数万円程度、費目はそれぞれ異なる)
●高津区役所からアルファ米300食 
●地域企業(不動産会社)から、会場周辺に設置したのぼり、カセットコンロの燃料(ボンベ)30本 
●イカ焼き機 ワークショップ担当の一般社団法人が提供

 一方の支出は、ワークショップの講師料、プロパンガス、豚汁の野菜と肉など食材などにとどまっており、助成金と自治会費でまかなえてしまっている。
「うちのマンションでもやってみたい」と思った方はぜひ、まず自治体の防災助成金をチェックしてみるとよい。

(2)ネットワークを作り人材を活用せよ

注目すべきは、人件費がほとんどかかっていないにも関わらず、多彩な人びとが集まっていること。大喝采を浴びたチャリティライブに出演しているのはプロのミュージシャン。そのうちの1人がマンション住民と交流があったという。野菜とジェラートを販売しているのは宮前区にある「小泉農園」で、この農園では畑をステージにした「農園フェス」を開催するなど、市民と農をつなぐ試みを行っている。

そこには武蔵小杉駅での「駅マルシェ」で小泉農園はじめ川崎の生産者が作る野菜を売る試みはじめ、川崎の街づくり活動に取り組む一般社団法人カワサキノサキも出店、そのマルシェの販売には3マンションのママたちも参加……というように、川崎や溝の口を「もっとよくしたい」と思い活動するキーマンが3マンションにもつながっている。

防災の課題でもある「地域コミュニティ」を作るのは、地域防災計画に書かれただけでは実現しない。住民への働きかけの1パターンとして、3マンションの取り組みは大きなヒントをくれる。

地域全体が活性化すれば災害時にも頼れるコミュニティ形成が作れる。今後、3マンションの取り組みがどう地域に広がっていくか、注目したいところである。

炊き出しフェス 内容

12:00 開会宣言
 炊き出しスタート

12:10〜13:00
 子どもによる溝の口エリア段ボールジオラマ組み立て

12:20〜12:50
 熊本県益城町 町立広安西小学校PTA会長 万江英彰さんのお話

12:30〜13:40
 ローリングストック料理教室

13:50〜14:30
 防災ワークショップ・段ボールジオラマによるDIG(図上災害訓練)

14:40〜
 熊本地震支援チャリティLIVEステージ

15:30 閉会宣言


(了)