第8回:BCPやBCMを「コストセンター」とみなしてはいけない
中長期的な視点で必要な投資を
BCP策定/気候リスク管理アドバイザー、 文筆家
昆 正和
昆 正和
企業のBCP策定/気候リスク対応と対策に関するアドバイス、講演・執筆活動に従事。日本リスクコミュニケーション協会理事。著書に『今のままでは命と会社を守れない! あなたが作る等身大のBCP 』(日刊工業新聞社)、『リーダーのためのレジリエンス11の鉄則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身 (ヤマケイ新書)』(山と渓谷社)など全14冊。趣味は登山と読書。・[筆者のnote] https://note.com/b76rmxiicg/・[連絡先] https://ssl.form-mailer.jp/fms/a74afc5f726983 (フォームメーラー)
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■経営者にとっての目の上のたんこぶ
社長や経営者にとってコストは常に目の上のたんこぶである。一般従業員の場合、売上が増えたり業績が伸びたりすれば素直に喜ぶだろうけど社長や経営者はそうはいかない。「その売上はいったいいくらのコストがかかり、いくらの儲けが出ているのだ?」と。
利潤を追求するための日々の事業活動ですらこのようなものである。ましてやBCPのように、どこから見ても何も利益に貢献しない活動となれば、なんの魅力も価値も見いだせないと映るだろう。BCPに後ろ向きな経営者がBCPの策定および維持管理の過程で発生するに違いないと思いこんでいるコストは、例えば次のようなものである。
・BCPの策定を指導するコンサルタントへの報酬
・防災・減災対策(非常時備蓄品の購入なども含む)
・BCPの策定に関わることで失われる生産性(≒人件費の浪費)
・BCM(事業継続管理)のための人材育成
確かに原則論でいえば、これらは事業継続体制を社内に定着させるための必須要件だろう。しかし本当に必要なコストと言えるのは2つ目の「防災・減災対策」の支出ぐらいのものだ。ともあれ、BCPを取り巻く一連の活動は典型的な「コストセンター」とみなされることが多い。コストセンターとは直接利益を生まない事業部門のことである。全体業務に占める割合の小さいBCPやBCMの活動をセンターや部門と呼ぶには少し無理があるが、ここでは例え話としてとらえていただきたい。
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