2019/03/11
講演録
BCP策定にあたり、当社の中核事業は、「再生重油」「油水加工」と決定しました。想定されるリスクは、宮城県沖地震による施設の破壊等、火災・廃油漏洩等、新型インフルエンザによる職員の欠勤です。これらのリスクを踏まえ、ISOの環境マネジメントシステムの「自然災害時のリスクマネジメントの取り組み」、再生重油等やバイオ燃料の安定供給、さらに防災や危機管理の取り組みによる企業イメージアップ、宮城県沖地震が30年以内に99%の確率で発生するということに対応する必要性からBCPに取り組んでいます。
BCPのマニュアルですが、シンプルイズベストを目標に、なるべく簡単に作っています。基本方針は、「事業の継続・早期復旧に努める」「従業員を守る」「地域の活力を守る」ということで、自社対策の目処が立ちしだい地域の支援等を行うということを、実際に東日本大震災でも実行しました。
BCPの連携体制では、岩手、山形、福島の同業者に代替製造をお願いすることができました。自分たちが原料を集めてそこに持って行き、製品を作ってもらい、自分たちで販売するという体制を始めております。
社内研修は年4回実施しています。小さな活動をこつこつと毎年繰り返し、折に触れて、何かしら絡めながらやっています。
実際の地震発生後の対応ですが、建物や設備は震度6強の地震でも問題ありませんでした。しかし、津波にはやられました。震災前は工場の周りに住宅地も結構ありましたが、現状は住民が住めない地域になっています。だいたい4~5mの水を被りました。
良かった部分としては、地盤にしっかりお金をかけた体制にしていたため、地盤が沈下しませんでした。そのまま地盤を使えたほか、タンクが何機か使えたことが復旧に大きく役立ちました。機械類が破損したり、タンクローリーが流されたりしましたが、人的被害はありませんでした。また、自分たちのプラントのほとんどを自分たちで直すことが出来ました。
売り上げが立つように仕組みを作ることがBCPです。3・11の際、3月は10日分程の売り上げしかたっていませんが、4~5月とボランティアをしながらも少しずつ仕事をしていましたので、売り上げは0にならず、5~6月はむしろ復興需要で利益も出ました。
(了)
- keyword
- 東京都中小企業振興公社
- オイルプランナトリ
- 東日本大震災
講演録の他の記事
おすすめ記事
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
-
新任担当者でもすぐに対応できる「アクション・カード」の作り方
4月は人事異動が多く、新たにBCPや防災を担当する人が増える時期である。いざというときの初動を、新任担当者であっても、少しでも早く、そして正確に進められるようにするために、有効なツールとして注目されているのが「アクション・カード」だ。アクション・カードは、災害や緊急事態が発生した際に「誰が・何を・どの順番で行うか」を一覧化した小さなカード形式のツールで、近年では医療機関や行政、企業など幅広い組織で採用されている。
2025/04/12
-
-
-
防災教育を劇的に変える5つのポイント教え方には法則がある!
緊急時に的確な判断と行動を可能にするため、不可欠なのが教育と研修だ。リスクマネジメントやBCMに関連する基本的な知識やスキル習得のために、一般的な授業形式からグループ討議、シミュレーション訓練など多種多様な方法が導入されている。しかし、本当に効果的な「学び」はどのように組み立てるべきなのか。教育工学を専門とする東北学院大学教授の稲垣忠氏に聞いた。
2025/04/10
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方