第9回:AIで地震は予知できるか?
人が苦手なデータ分析でパターン解明も
BCP策定/気候リスク管理アドバイザー、 文筆家
昆 正和
昆 正和
企業のBCP策定/気候リスク対応と対策に関するアドバイス、講演・執筆活動に従事。日本リスクコミュニケーション協会理事。著書に『今のままでは命と会社を守れない! あなたが作る等身大のBCP 』(日刊工業新聞社)、『リーダーのためのレジリエンス11の鉄則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身 (ヤマケイ新書)』(山と渓谷社)など全14冊。趣味は登山と読書。・[筆者のnote] https://note.com/b76rmxiicg/・[連絡先] https://ssl.form-mailer.jp/fms/a74afc5f726983 (フォームメーラー)
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■神のみぞ知る大ナマズのきまぐれ
地震の予知は私たち日本人にとってある意味悲願でもあります。地震学者たちは長年にわたって地震予知の研究に取り組んできましたが、今一つ決め手に欠けるのです。地震発生のメカニズムはわかりますが、肝心のいつどのくらいの強さで発生するのかがはっきりしません。
「平面上に一つずつ順番に砂粒を落とし続けていくと、だんだん高く大きな砂山ができてくる。そして、n番目の一粒を落とした時、山はとつぜん崩れる。この実験を繰り返して毎回n番目の砂粒で崩れるという規則が見つかれば、山崩れの予測は可能なのだが、実際には不可能だ。それが何番目の砂粒でどのくらいの規模の山崩れになるのかは毎回異なるからだ」。何かの科学の本にこんな意味合いのことが書いてありましたが、地震の起こり方というのもまさにこれと同じでしょう。
ちなみに日本には「緊急地震速報」というシステムがあります。地震発生直後に最初に発生する微動(P波)の到達を察知してアラートを出し、その後に発生する大きな揺れ(S波)が到達するまでの数十秒の間に、人々に何らかの安全確保の行動をとってもらおうというものです。実際に地震が発生したことを検出して役立てる仕組みですから予測とは異なりますが、身を守るための手段としてこれを緊急対応手順などに組み込んでいる組織もあります。一歩先を行くシステムであることは間違いありません。
とは言え、これが役立つのは2011年の東日本大震災のように震源が離れているときです。地震があなたの街のすぐ近くや真下(つまり震源に近いところ)で起こった場合は、P波やS波が伝わる距離が近すぎて、その時差を利用して安全を確保する時間はほとんどなく、難を逃れるのは容易ではないでしょう。
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