地震研究のアプローチとしてAIも有効な選択肢になるかもしれません(写真は6月の大阪北部地震で被害を受けた大阪府高槻市の家屋)

■神のみぞ知る大ナマズのきまぐれ

地震の予知は私たち日本人にとってある意味悲願でもあります。地震学者たちは長年にわたって地震予知の研究に取り組んできましたが、今一つ決め手に欠けるのです。地震発生のメカニズムはわかりますが、肝心のいつどのくらいの強さで発生するのかがはっきりしません。

「平面上に一つずつ順番に砂粒を落とし続けていくと、だんだん高く大きな砂山ができてくる。そして、n番目の一粒を落とした時、山はとつぜん崩れる。この実験を繰り返して毎回n番目の砂粒で崩れるという規則が見つかれば、山崩れの予測は可能なのだが、実際には不可能だ。それが何番目の砂粒でどのくらいの規模の山崩れになるのかは毎回異なるからだ」。何かの科学の本にこんな意味合いのことが書いてありましたが、地震の起こり方というのもまさにこれと同じでしょう。

ちなみに日本には「緊急地震速報」というシステムがあります。地震発生直後に最初に発生する微動(P波)の到達を察知してアラートを出し、その後に発生する大きな揺れ(S波)が到達するまでの数十秒の間に、人々に何らかの安全確保の行動をとってもらおうというものです。実際に地震が発生したことを検出して役立てる仕組みですから予測とは異なりますが、身を守るための手段としてこれを緊急対応手順などに組み込んでいる組織もあります。一歩先を行くシステムであることは間違いありません。

とは言え、これが役立つのは2011年の東日本大震災のように震源が離れているときです。地震があなたの街のすぐ近くや真下(つまり震源に近いところ)で起こった場合は、P波やS波が伝わる距離が近すぎて、その時差を利用して安全を確保する時間はほとんどなく、難を逃れるのは容易ではないでしょう。