【ワシントン時事】トランプ米大統領は6日、同盟国に対する不信感をあらわにした。日米同盟の「片務性」に不満をぶちまけるとともに、国防支出が不十分な北大西洋条約機構(NATO)の加盟国を防衛しない方針も表明。「米国第一主義」を掲げるトランプ氏の同盟を疎んじる姿勢が改めて明確となった。
 「われわれは日本を守らなければならないが、日本はわれわれを守らない」。トランプ氏はホワイトハウスで記者団にこう主張した。さらに「日本は米国との関係から財を成している」と批判し、「一体誰がこんなディール(取引)をするのか」と皮肉った。
 トランプ氏の発言は、NATOを批判する文脈で飛び出した。トランプ氏はNATO加盟国の国防支出が不十分な場合、攻撃を受けても「守るつもりはない」とも明言。さらに「もし米国が助けを求めた場合、フランスや他の国々が守りに来てくれるか確信が持てない」と疑問を呈した。
 NATOは「加盟国への攻撃は全体への攻撃と見なす」とする条約第5条を根幹としている。NATOの歴史上、第5条が発動されたのは2001年の米同時テロの時だけだった。マクロン仏大統領はすぐに「仏はNATOにおける忠実で揺るぎない同盟国だ」と反論した。
 トランプ氏は就任前にも国防支出が不十分なNATO加盟国への攻撃をロシアに促すような発言をした経緯がある。今回の発言も、同盟国に国防支出を増額させたい意図があるとみられる。
 ヘグセス米国防長官も6日、ヒーリー英国防相との会談で「欧州諸国のリーダーシップこそ、欧州大陸の防衛の未来だ」と指摘し、米国の関与を減らしたい考えを示した。トランプ氏がロシアとの関係正常化に乗り出す中での一連の発言は、欧州やアジアとの同盟関係を揺るがす可能性もある。 
〔写真説明〕6日、ホワイトハウスで発言するトランプ米大統領(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)